2013年05月12日

映画「ヒステリア」見たよ! おすすめ!



http://www.hysteria.ayapro.ne.jp/

 19世紀末ロンドン(予告ムービーでは1890年になってるけど本編字幕では1880年)。やる気はあるが先進的すぎて周囲とうまくいかない若き医者モーティマー・グランビル(ヒュー・ダンシー)が、当時、女性の心の病気とされていた「ヒステリア」を局部マッサージで治療するダリンプル医師(ジョナサン・プライス)に雇われる。医師には二人の娘がいて、姉は女性の権利擁護と社会奉仕活動に邁進するシャーロット(マギー・ギレンホール)、妹はおしとやかで可愛いエミリー(フェリシティ・ジョーンズ)。なんやかや紆余曲折いろいろあった末、グランビルは友人で貴族で発明家のエドモンド・セント・ジョン(ルパート・エヴェレット)とともに電動バイブレータの開発を思いつく。

 とてもおもしろかった! さいしょにお決まりの「この物語は真実に基づく」が出るんだけど、すこし遅れておずおずと「本当です」って文字が出てくるの。すごく可愛く。そんなふうな、神経の行き届いたくすっと笑える演出が全編をとおして効いていた。というか、衣装も美術も小道具も、出てくるひとたちもみんな可愛い。せりふは小気味よくしゃれていて、ストレスは最小限で、でも頭のすみでは女子の歴史についてちょっと考えてしまって、最後には気持ちよくなれる。良い映画だと思う。

 なにより、好きなひとにはたまらないヴィクトリアン・トリビアがいっぱいなのが嬉しい。いきなり細菌説とリスターの消毒法をめぐってのやり取りから始まって、怪しげな売薬についての嘆きとか、エドモンドの部屋に初めて電話が開通して「電話に」「女王陛下に」「女王陛下への電話に」なんてお洒落な乾杯をしてみたり、エミリーと初めて出会ったときの会話が「ご趣味は? 地質学? 植物学? 蝶の研究ですか?(当時のお嬢さんの定番みたいなラインナップ)」「いえ骨相学ですの」って! そもそも姉妹の名前がシャーロットとエミリーって! 「婦人参政権運動のパンフレット配ってたら逮捕されちゃって」はちょっぴり時代も早いし用語法も微妙な感じがしたものの、それはそれ。ああ楽しかった!

(パンフレット買っちゃったんだけど、セクシュアルな方面のコラムが充実しているかわりに19世紀英国ならではの風俗時代背景こねたはほとんど出てこなくて、ちょっと拍子抜けしてしまった……なんなら言ってくれれば……もごもご)

 まだ都内では始まったばかりで、全国順次公開みたいなので、わたしの本とかこのブログをわざわざ見に来てくださるような趣味をおもちの皆様はぜひぜひどうぞ。
posted by rico at 19:39| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月10日

国書刊行会版『ジーヴス』シリーズ電子書籍特設サイトにコラム寄稿&近況

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 ヴィタ・サックヴィル=ウエストの生家ノールの館。昨年秋訪問。

http://www.ebookjapan.jp/ebj/tag_genre.asp?genreid=30691

 表題のとおり、電子書籍販売サイトのebookjapanにて国書刊行会版の「ジーヴス」シリーズの電子版販売がはじまり、特設サイトができました。せんえつながらコラムを寄稿しました。楽しんで書きました、よろしければどうぞ。声優にして超読書家の池澤春菜さん、『プリーズ・ジーヴス』の漫画家・勝田文さんのメッセージを読めますよ。



 もうすぐ発売のDVD『天才執事ジーヴス』、楽しみです! つづきが出るかどうかは売り上げ次第なのでまだまだ応援。

 なんだかジーヴス&ウースター&フライ&ローリーのサイトみたいになってきましたが、仕事もしております……。

 ヴィタ・サックヴィル=ウエストの小説『エドワーディアンズ』を翻訳し、河出書房新社より6月刊行予定でがんばってます。また追々発信していきますね。

 来週に迫りましたが5月18日(土)に東京都仙川の白百合女子大学にてイギリス児童文学会東日本支部・春の例会でお話させていただくことになりました。会員以外のかたも参加費を払ってお入りになれます。ええもう緊張しております。

 枢やなさんのコミック『黒執事』毎月お手伝いしています。コミックは16巻が発売中。寄宿学校編です。というかすっかりクリケット編です。徹底して新しいことに挑戦し続ける姿勢がほんとうにすごいです。

 山名沢湖さんのコミック『花ちゃんとハンナさん』も資料出しでお手伝いしてます。講談社の隔月コミック誌「キスプラス」で連載中。4月売りの5月号が発売中。エドワーディアンの英国メイド・ハンナさんが、現代日本のメイド喫茶で働く花ちゃんのもとに現れて……。ふわふわのんびりにみえて芯はしっかり、心を込めて描かれた可愛らしい作品ですよ! 応援いただけますと幸いです。

 そして5月の下旬から6月の上旬までまたすこし留守にする予定。もろもろよろしくお願い申し上げます。
posted by rico at 18:55| 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月24日

スティーヴン・「ジーヴス」・フライがルパート・グリントのUSコメディ番組で執事役を!(※追記あり)

※CBSの制作ラインナップから除外されることが決定してしまいました。残念!(http://www.rupert-grint.us/wordpress/2013/05/11/rupert-grints-super-clyde-not-picked-up-by-cbs/

 表題のとおり。一部のひとには(おもにわたしとか)ニュース!「ジーヴス&ウースター」のジーヴス役でおなじみスティーヴン・フライがルパート・グリントのUSコメディ番組に執事役として参加決定。

Stephen Fry To Co-Star In Greg Garcia’s CBS Comedy Pilot ‘Super Clyde’
By NELLIE ANDREEVA (Deadline / March 15, 2013)

 アメリカCBSでパイロットを撮影中のカメラ固定型コメディ(シットコム)「スーパー・クライド」。映画『ハリーポッター』のロン・ウィーズリー役で知られるルパート・グリントが主演する。プロデューサーはグレッグ・ガルシア、監督はマイク・フレスコで「マイ・ネーム・イズ・アール」など。

 お話は、意気地なしのファストフード店員クライド(ルパート)が突然巨額の遺産を相続し、スーパーヒーローをめざす、というもの。スティーヴンはクライドの「執事にして相棒のランドルフ」役。つまり「バットマン」のアルフレッドにあたる役回りらしい。パロディっぽい感じなのかな?



 1990年代の英国コメディドラマ「ジーヴス&ウースター」を踏まえたキャスティングなのは明らか。とても楽しみ。ただしまだパイロット段階なので、シリーズ化されるかどうかは上の判断次第。どうかうまく行きますように。日本版がついに発売される「天才執事ジーヴス」のDVDと合わせて見たい。

『ハリー・ポッター』ルパート・グリントがドラマ主演!ヒーローを目指すオタク青年役
by シネマトゥデイ(2013年2月15日)

 日本のサイトにはまだスティーヴンのことは報じられてないのかな。というかみんな興味ないのかな。えー。

Breaking America? Anything Hugh Laurie can do, Stephen Fry can do better
byFreddie Nathan , Adam Sherwin (Independent / 19 March 2013)

 アメリカでも日本でも、論調は「ハリポタスターの新作コメディドラマが…」だけど、英国での報道は違う。国宝ですから。大学時代以来の盟友だったヒュー・ローリーは「ドクター・ハウス」でひと足先にアメリカで大ブレイクしているので、「だったらスティーヴンもいけるんじゃ?」と期待に胸をふくらませる英国メディアであった。

2013年03月07日

『天才執事ジーヴス』日本語字幕つきDVD、5月発売決定!



 英国コメディドラマ「ジーヴス&ウースター」の日本語版DVDが5月に発売されることなりました。やったー! 待ってた! 待ちすぎて暴れる寸前だった!

 まずは上の予告編ムービーを見てみてください。ああやっぱりいつ見ても可愛い! そして日本語! 日本語がついてる…ついてるよ…!(感涙) バーティーが歌ってるよ…! ああこの軽やかなテーマミュージックよ…! ヒュー・ローリーにスティーヴン・フライ…! 50分×2話収録で2,310円ってまあがんばったほうだと思う…!



http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336056528/
https://twitter.com/KokushoKankokai

 発売元は翻訳版小説の発売元のひとつである出版社の国書刊行会。なのでISBNがついてます。攻めの姿勢が好ましい。公式ツイッターアカウントでの情報によれば、Amazon初め各書店での予約は5月上旬に開始、版元からの直接注文なら電話やFAXでの予約も受け付けるとのこと。(わたしこんなに待ってたし……待ってたひと多そうだし……ちゃんと行き渡るかな……? がっちり予約しなくちゃ……!)

 P・G・ウッドハウス原作、バーティー役はヒュー・ローリー(ドラマ「Dr. House」)。ジーヴス役はスティーヴン・フライ(「オスカー・ワイルド」「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」マイクロフト役など)。

 ケンブリッジのコメディクラブで出会い、「フライ&ローリー」としてお笑いの冠番組も持っていた大の仲良しの二人が、幼少のみぎりから大好きだった原作に、愛をそそぎまくって絶妙なアレンジを加えて、民放ITVで1990年代に制作した傑作コメディドラマ。とにかく可愛くて楽しくて笑えるの、あと萌えるの……! 日本語版発売でたくさんのひとが楽しんでくれるときがほんとに楽しみです。

2013年02月15日

ちょっと役立つ(かもしれない)ヴィクトリアン小話いくつか

 ちょっとまえにツイッターでつぶやいたものの加筆再録です。

●2012年12月09日(日)

新・三大「サイズ感を誤りやすい英国ヴィクトリア時代の事物」その1・封筒。約12センチ×7センチ、かなりちいさい。若き令嬢の愛らしい手ひらにもすっぽり収まる。
posted at 19:31:18


 ※ちなみにこれは「1870年代いっぱいまで好まれた」サイズ。『ヴィクトリア朝百貨事典』より。

新・三大「サイズ感を誤りやすい英国ヴィクトリア時代の事物」その2・紙幣。約21センチ×13センチ強。だいたいA5サイズを横に倒したぐらいでデカイ。額面5ポンドからで、金貨(1/2&1ポンド)より高額。庶民にはたぶん縁がない。
posted at 19:34:16


最低額の紙幣1枚で下っ端メイドやボーイの年収まるっと払えてしまうと考えるとね。
posted at 19:35:38


 ※見た目はだいたいこんな感じ(1940年代のもの)で、5ポンド札の通称は「ホワイト・ファイヴァー」。

●2012年12月11日(火)

新・三大「サイズ感を誤りやすい英国ヴィクトリア時代の事物」その3・ワイングラス。いまの赤ワイングラスは両手でもあまる大きさだったりふちに向かってすぼまってるものが多いが、あれは20世紀中盤につくられたもので、それより昔のものはかなりちいさく、ガラス厚め、ステムも短い。
posted at 10:07:06


(続き)ちゃんと調べきれてないけど、「ワイングラス1杯ぶん(wineglassful)」の容量は2液量オンスだったり4液量オンスだったり(60ml〜125ml)。ビートン夫人の料理書1907年ではおよそ70mlだった。
posted at 10:26:39


(続き)いずれにしても「思ったより小さい・すくない」ので、ちょっと古めの外国のレシピを使ってて「ワイングラス1杯のブランデー/ポートワイン」と書いてあって、いまのブルゴーニュグラスになみなみいれたら大変なことになる(笑)
posted at 10:28:09


Beauty & Co. │RIEDEL HISTORY Vol.1 リーデルの誕生 http://t.co/8TABPuPU リーデル社のワイングラスの歴史をマンガで。オチがすてきだった。
posted at 10:39:26


posted by rico at 20:12| メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月13日

2013年もよろしくお願いします(近況と予定と萌え告白)

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 そろそろバレンタインデーに差しかかろうというのに年始のごあいさつもせずにおり、まことに申し訳ございません……ことしもよろしくお願い申し上げます。

 2013年の予定は、翻訳書をふたつ、書き下ろしをひとつ。書店に並ぶところまでいけるのは一冊か二冊ということになりそうですが、なんとか本を出して生きていきたいと思っております。本年もどうかご支援のほどお願いいたします。(あと、ちょっとひとまえでお話させていただく機会もあるかも。どきどき)



 友人の漫画家・山名沢湖さんが、新作ストーリー漫画の連載を開始しました! 講談社「Kiss+(キスプラス)」現在発売中の2013年3月号から開始です。タイトルは「花ちゃんとハンナさん」現代の女の子・花ちゃんのもとに、昔のメイドのハンナさんが現れて……というちょっと不思議なお話です。わたしもハンナさん側(英国ヴィクトリア時代末期)の資料出しをしたり、いろいろ相談に乗ったり、せっせとお手伝いしております。

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大判カード型写真(キャビネット・カード)。1900年前後かな。漫画本編とは関係ありませんが資料として出したもの。

 構想はずいぶん前からあって、「こんなお話考えたんだ」「いいねいいね! あんなネタもこんなネタも入れてよ!」ってだいぶ前から盛り上がってきたお話なので、できれば長く続けてもらえるように、寄り道トリヴィアなんかをいっぱい混ぜ込む余裕ができるように(笑)、よろしければ応援お願いします!


「Meet the Quatermaster」

 昨年末に見にいった「007 スカイフォール」でQ役のベン・ウィショーさんにまんまとフォールしツイッターでひとしきり騒いだあげくにもうひとつブログまで始めてしまいました……あちこち不義理をしまくってるのにすみません……


「情愛と友情(Brideshead Revisited 2008)」

 でも、やってること自体にはあまり反省しておりません。どさくさにまぎれて告白すると、あまり前面には出しませんでしたが、心のなかでは常に何かしらに萌えてはおりました。友だちにすら言ってないような、墓のなかまで持っていかなければいけないようなものまで含めて……。

 おまけ、バレンタインカードに関連する最近のつぶやき。

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バレンタインカードを選ぶ。1881年家庭雑誌の挿絵から。 http://t.co/TSpT0bve
posted at 09:37:45


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続き。ちょっとそこまで投函しに行くだけにしては後ろ裾引きすぎお洒落すぎなのはファッション解説ページの挿絵だから。六角形のポスト。 http://t.co/37ShQSPT
posted at 09:39:24


六角形のポストは「六角形のポスト」としか認識してなかったけど、ペンフォールズという名前があったのかhttp://t.co/i1OUn41F
posted at 09:49:10



というわけで、お仕事がんばりますので温かい目で見守っていただけますと幸いです……。
posted by rico at 10:38| 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月01日

クリスマスプディングのつくり方(お手軽版)

 おひさしぶりです。9月に出ました訳書『図説メイドと執事の文化誌』好評発売中です。いまは小説翻訳の企画がとおり、来年初夏の発売をめざして絶賛格闘中。小説難しい。でもたのしい。めどが立ちましたら告知しますので、またどうぞよろしくお願いいたします。

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 さて、ことしはうちでクリスマスプディングをつくってみました。まだまだ熟成中ですが……。

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 小さいのをひとつ試食。いまの時点でもじゅうぶん美味しいです。



 2年前にコミック『エンバーミング』のおまけ企画で挑戦したときには、1907年の『ビートン夫人の料理書』のレシピをもとに、100年前の味をできるだけ忠実に再現しようとがんばったものです。このときのレシピは『エンバーミング』単行本6巻、コラム「エンバーミング博物誌」vol33に再録されました。

 今回は、ただ自分が美味しく食べるだけが目的ですから、材料は近所で手にはいるものだけで代用し、扱いやすいよう量も減らしたお手軽バージョンにしてしまいました。来年のためにレシピをメモっておきます。

●クリスマスプディングの材料
(400グラムのいれものおおざっぱに2個分くらいのどんぶり勘定)
・バター(またはケンネ脂) 110グラム
・塩 1つまみ(有塩バターの場合は省略)
・ミックスレーズン(またはレーズン、カランツ、サルタナ)合計280グラム
・マーマレード(または砂糖漬けオレンジピールとレモンピール合わせて) 60グラム
・砂糖 110グラム(あればブラウンシュガー)
・ハチミツ 大さじ1(省略可)
・小麦粉 30グラム
・ナツメグ 適量
・シナモン 適量
・好みのスパイス 適量
・食パン 2枚(または生パン粉110グラム)
・スライスアーモンドやピーナッツなど皮なしのナッツ類(乾燥ココナッツ、ダイスカットアーモンドなど) 30グラム
・牛乳 70cc
・ブランデーかラム 35cc
・レモン汁 大さじ2(または生レモンからおろした皮としぼった果汁 1/2個)
・卵 2個


●つくり方
1 バターをダイス状に刻む。レーズンは粗く刻む(半分にカットする気分で)。ナッツも刻む。ピールを使う場合も短く刻む。マーマレードのときはそのまま。パンは手で細かくちぎる。
2 液体(卵、牛乳、ブランデー、レモン汁)以外の材料をボウルに全部いれて混ぜ合わせる。
3 2に牛乳を加え、溶きほぐした卵を加え、ブランデーとレモン汁を加える。
4 内側にバターか油を塗った容器に材料を入れ、口の内側の大きさにカットしたクッキングペーパーかアルミホイルでふたをし、清潔なふきんで包んで結ぶ。
5 4時間ゆでるか、5時間以上蒸す。(でもサイズが小さければもっと短くていい気がする)
6 水分が乾くまで冷暗所に吊るし、そのまま冷暗所か冷蔵庫か冷凍庫で保管。
7 食べる時に1時間以上蒸すか、レンジで温める。
8 ブランデーでフランベし、ソースをかけて供する。


 結局のところ、刻んで混ぜて(長時間)蒸すかゆでるかするだけなので、手順自体はものすごく簡単。材料と時間さえあれば失敗はまずないと思います。ご家庭の味ですから、材料のバランスが多少違っててもそんなにひどいことにはならないですし、いれものも、陶器のどんぶりとか湯飲みとかプリンカップでぜんぜん問題ないです。長期保存にそなえて雑菌だけは気をつけて。よかったら挑戦してみてください。

posted by rico at 11:32| メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする