2013年05月12日

映画「ヒステリア」見たよ! おすすめ!



http://www.hysteria.ayapro.ne.jp/

 19世紀末ロンドン(予告ムービーでは1890年になってるけど本編字幕では1880年)。やる気はあるが先進的すぎて周囲とうまくいかない若き医者モーティマー・グランビル(ヒュー・ダンシー)が、当時、女性の心の病気とされていた「ヒステリア」を局部マッサージで治療するダリンプル医師(ジョナサン・プライス)に雇われる。医師には二人の娘がいて、姉は女性の権利擁護と社会奉仕活動に邁進するシャーロット(マギー・ギレンホール)、妹はおしとやかで可愛いエミリー(フェリシティ・ジョーンズ)。なんやかや紆余曲折いろいろあった末、グランビルは友人で貴族で発明家のエドモンド・セント・ジョン(ルパート・エヴェレット)とともに電動バイブレータの開発を思いつく。

 とてもおもしろかった! さいしょにお決まりの「この物語は真実に基づく」が出るんだけど、すこし遅れておずおずと「本当です」って文字が出てくるの。すごく可愛く。そんなふうな、神経の行き届いたくすっと笑える演出が全編をとおして効いていた。というか、衣装も美術も小道具も、出てくるひとたちもみんな可愛い。せりふは小気味よくしゃれていて、ストレスは最小限で、でも頭のすみでは女子の歴史についてちょっと考えてしまって、最後には気持ちよくなれる。良い映画だと思う。

 なにより、好きなひとにはたまらないヴィクトリアン・トリビアがいっぱいなのが嬉しい。いきなり細菌説とリスターの消毒法をめぐってのやり取りから始まって、怪しげな売薬についての嘆きとか、エドモンドの部屋に初めて電話が開通して「電話に」「女王陛下に」「女王陛下への電話に」なんてお洒落な乾杯をしてみたり、エミリーと初めて出会ったときの会話が「ご趣味は? 地質学? 植物学? 蝶の研究ですか?(当時のお嬢さんの定番みたいなラインナップ)」「いえ骨相学ですの」って! そもそも姉妹の名前がシャーロットとエミリーって! 「婦人参政権運動のパンフレット配ってたら逮捕されちゃって」はちょっぴり時代も早いし用語法も微妙な感じがしたものの、それはそれ。ああ楽しかった!

(パンフレット買っちゃったんだけど、セクシュアルな方面のコラムが充実しているかわりに19世紀英国ならではの風俗時代背景こねたはほとんど出てこなくて、ちょっと拍子抜けしてしまった……なんなら言ってくれれば……もごもご)

 まだ都内では始まったばかりで、全国順次公開みたいなので、わたしの本とかこのブログをわざわざ見に来てくださるような趣味をおもちの皆様はぜひぜひどうぞ。
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2010年08月17日

仕事が好きー♪→(実はそうでもなかった話)

白雪姫
『白雪姫 スペシャル・エディション (期間限定) [DVD] 』


 ディズニーの世界観には個人的にちょっとした苦手意識があって、『アリス』と『ファンタジア』くらいしか見たことがありません。あっ、あと『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』……これは少しつくりが違いますが。

 先日、「ぴあフィルムフェスティバル」にて、山村浩二監督(『頭山』など)の講演を聞き、アニメーションの流れに興味がわいたので、時間がある時に少しずつ観ています。

 最近みたのは『白雪姫』。世界初のカラー長編アニメなのだそうで、1937年の作品です。なめらかで細かな動き、美しい色。第二次世界大戦開戦の二年も前にこんなの作ってたのか、それはやっぱり勝てないよ、っていう感じです。

 あらためて観たら、いろいろ思い込みで誤解していたことが発覚。

 ディズニー版では、冒頭で姫と王子が出会っているので、グリム童話にあった「初対面の死体に一目ぼれして持ち帰りたがる王子」という、ちょっと不自然というか不気味なところがマイルドになってます。

 なので、姫が夢見る瞳でうたう「いつか王子様が」の歌詞も、

「いつか私の王子様がくる
 私たちはもう一度会える」

 ……そんなわけで、彼女は「いつか王子様が」というフレーズから連想されるような「見も知らぬ白馬の王子様がいつか必ず来ると信じている思い込みの激しい子」ではなかったのでした。

 あと、七人の小人がうたう『ハイホー』の詞は

1)「仕事から帰る場所は家」(帰り)
2)「さあ仕事に行こう」(行き)

 この繰り返しで、「仕事が好き」とはぜんぜんいってなかった(笑)。

 でも、聞き覚えのあるバージョンがやっぱりしっくりきますよね。どこで聞いたかはもう覚えてないのですけど、……しっごーとがすきー♪ フフフンフンフンフフフンフンフンはいほー……はいほー…………

 ……仕事します。
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2009年12月29日

『ヴィクトリア女王』&『ヴィクトリアンジュエリー展』など

 大変お久しぶりです。ずっと音沙汰なくてごめんなさい。各方面にも不義理をしましてすみません。ちょっとまたお仕事関連で主にあたまがいっぱいになっておりました。まだ先になりそうですが、公開時期がきたらご紹介したいと思います。

映画『ヴィクトリア女王 世紀の愛』



 原題は『The Young Victoria』。わずか十八歳で即位し、その後の六十年余、繁栄期の英国で王位にあったヴィクトリア女王の若年時代を描いた映画です。

 予告映像を見ると、重たい王冠に負けそうになっているほっそりしたエミリー・ブラントから始まって、男前なルパート・フレンドとのダンスにプロポーズ、声を荒げて口論したりガラスが割れたり銃弾で襲われたり、なんというか、いろいろ激しそう。十九世紀英国のゴージャスさは全面に押し出しつつ、時代劇特有の重々しさは極力排除して、ロマンチックでドラマチックな仕上がりをめざしたのかな?という印象。

 ジュディ・デンチ主演でアルバートの死後を描いた『クイーン・ヴィクトリア 至上の恋』とは、邦題もそろえていることだしぜひ一緒にDVD化してほしいですね。

 先週から全国で公開中。お正月に観にいくつもりです。

展覧会『愛のヴィクトリアン・ジュエリー展』

 渋谷のBunkamuraで年明けの1月2日(水)よりスタート。こっちもすごく楽しみ!

 那須高原にある「穐葉アンティークジュウリー美術館」の展示物が東京にやってきます。同館は、十八〜十九世紀ヨーロッパのジュエリーの歴史を一望できるたいへん素晴らしいところ。以前、友達との旅行にかこつけて訪れたことがあるのですが、流れのつかみやすい構成、わかりやすい説明、今や失われて再現不可能な技術で作られた繊細な細工のモザイクにカメオ、ジェットや髪の毛の服喪用ジュエリー、血のしずくのように鮮やかな首飾り、エナメルの細密画、全ての展示にひたすら驚嘆したものです。またいつか行きたいなと思っていたので、東京で見られるなんて本当に嬉しい。

 2010年いっぱい、那須の本館はお休みとなり、東京での会期が終了後、山梨・福井・広島の美術館を巡回するようです。(リンク先→巡回予定

 ヴィクトリア時代の服飾文化に興味をお持ちの方は、万難排してぜひお出かけください。
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2009年07月27日

ティム・バートンのアリス・予告編



http://disney.go.com/disneypictures/aliceinwonderland/

 ティム・バートン監督の映画『アリス・イン・ワンダーランド』、予告編映像が公開されてます。予備知識を入れたくない人はご注意を!

 いや〜、おもしろそうですね! ディズニー映画ですし、ビジュアル面ではディズニーアニメ版をベースにしている感じなのかな?(ドレスが水色)。アリスが年長ぎみなのには意味がありそうですね。

アリス:ミア・ワシコウスカ(新人)
帽子屋:ジョニー・デップ
赤の女王:ヘレナ・ボナム・カーター
白の女王:アン・ハサウェイ

 他に、公式情報かどうかわからないのですが

芋虫:アラン・リックマン
白ウサギ:マイケル・シーン
クリストファー・リー

 などなど、豪華英国キャストが名前をつらねています。

 そしてそして、チェシャ猫役はスティーヴン・フライみたいですよー! 予告編ではひとこともしゃべってませんけれど。うわっとなるくらいピッタリですね。

 2010年3月(日本では4月)公開。楽しみに待ちたいと思います。
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2009年05月24日

『ヒストリーボーイズ』(2006年)

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『ヒストリーボーイズ [DVD]』

 たいへん良かったです。

 1983年、英国北部の町シェフィールド。校長の意欲は高いが庶民的な雰囲気の漂う学校(グラマースクール)で、名門オックスフォード/ケンブリッジ大学進学組に集まった男子生徒たち。文学を愛する知識豊かな老教師へクター(セクハラ)や、対照的なまでにテクニカルでロジカルな若き教師アーウィン(こちらも実は……)、女性教師のドロシーたちから、多くのことを学びながら合格をめざしていく。アラン・ベネット脚本、ニコラス・ハイトナー監督。

 基本ラインは受験勉強して合否がでるまでのお話なのに、なんでこんなに面白いのか!

 もともと高い評価を受けた戯曲作品で、役者は舞台初演時のキャストだそうです。セリフのひとつひとつが輝いていて、呼吸もぴったり。歌のように詩のように調子よくポンポン会話が進みます。

 実際、音楽・映画・文学・思想・詩の引用が多い作品で、気づかなくても問題なく見られますが、細かく調べていったら楽しそうです。古い映画のワンシーンを生徒たちが即興で演じて先生にあてさせたり、ことあるごとに詩や警句を口にしたり。トマス・ハーディの『鼓手ホッジ』の朗読と解釈を行うシーンが印象に残りました。

 八〇年代ミュージックにはそんなに詳しくないのですが、BGMとしてジョイ・ディヴィジョンとかスミスとかの代表曲が選ばれていたようでした(好きな方にはぐっとくるのでは)。そういう同時代的な描写と、老教師じこみの古い流行歌を歌うシーンなどの対比具合にも、文化が移ろっていくこと――体内にとりこみ、自分なりに消化して、次の世代に手渡していくこと――という主題があらわれていたと思います。

 登場人物それぞれの背景と役割を、ちょっとステレオタイプな匂いがしてしまうくらいにきっちり割り振ってあるところに興味深いものを感じました。「ヘンリー八世に破壊された修道院の廃墟」に遠足に出かける場面では、「敬虔なキリスト教信者」「同性愛者」「ユダヤ教」「イスラム教」の立場からサクサクとコメントしながら見物していきます。それでその会話の背後のビジュアルときたら、もう、たまらん美しさ。ロケ地はファウンテンズ・アビー!あこがれの世界遺産にバス遠足ですよ。どれだけ贅沢なの、と羨望です。

 とはいえ、教育論、歴史とは、などのかたい話題で終始するわけではぜんぜんなくて、生徒たちは(先生たちも)みんな自分たちの個性に即して楽しんだり悩んだりしながらいきいきと日々をすごしています。そして――男子高校生たちの青春群像、となったら、必然的に恋愛話はかかせません。本作では女の子関係はおきまりのシモネタトークとちょっとしたチャレンジにかぎられ、主要なドラマは同性愛。リーダー格のデイトン君がアーウィン先生に迫るシーンは、何かいろいろすごかった。身体的接触はないのに(むしろひっきりなしに距離を取り直す感じ)、たいへん色っぽかったです。「眼鏡は最後だ」のセリフで、一緒に見てた人と顔を見合わせて爆笑してしまいました。何の最後なのか、眼鏡がどうなるのか、ぜひDVDでご確認ください。

 エンディングロールはルーファス・ウェインライトのけだるい歌声でしっとり。いいなあ。合うなあ。最後までごちそうさまでした。

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『The History Boys』
Original Soundtrack

 ぜんぜん関係ない話ですけど、スポーツの話が好きなラッジ君、耳の大きさといい濃い目のなまりといい、前に習っていた英語の先生に雰囲気が似てて、出てくるたびに顔が浮かんで困りました(笑)。
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2008年11月03日

『ブリーク・ハウス』&『サリー・ロックハートの冒険』放映開始

 し、しまった、もう始まってますよ『ブリーク・ハウス』。月末月頭の繁忙期にまぎれてすっかり忘れてた。楽しみにしてたのに見逃すところでした。危ない!

 以下、録画メモ。リピート情報は公式サイトへどうぞ。

『ブリーク・ハウス』
http://www.lala.tv/programs/bleakhouse/index.html
CS&ケーブルのLaLaTVにて。

#1−#2のリピート:
11/08 (土) 25:00〜27:00
11/09 (日) 09:30〜11:30

 以後、初回放送は日曜21:30〜23:00。約1時間×全8話のミニシリーズを、一度に2エピソードずつ放映のようです(今からでもまだ間に合います)。

 原作は1850年代に発表されたディケンズの『荒涼館』。巨額の遺産をめぐる争いに翻弄される人々、陰謀、愛憎、変死事件……。たいへん良い出来の映像化だと思います。

『サリー・ロックハートの冒険』
http://www.mystery.co.jp/program/sallylockhart.html
CS&ケーブルのミステリチャンネルにて。

#1 マハラジャのルビー
初回 11/7(金) 22:00〜24:00

#2 仮面の大富豪
初回 11/14(金) 22:00〜24:00

 約2時間ずつの1話完結もの、(いまのところ)全2エピソード。

 フィリップ・プルマン原作。後期ヴィクトリア時代のロンドン裏社会を舞台に、若きヒロインが活躍する冒険ミステリー。原作はこの後にも続きがあります。ドラマの続編制作も予定されているとどこかで見たような気がしますが、さて。
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2008年09月07日

LaLaTV、「秋は文豪ディケンズ特集」

http://www.lala.tv/special/uk2008/lineup.html

 チャールズ・ディケンズといえば、十九世紀の英国で一時代を築いた作家の一人です。その人気はいまだに根強く、年に何本も新作ドラマや映画が作られ続けているくらい(「おなじみ度」でいうと『クリスマス・キャロル』=『忠臣蔵』みたいな感じかな?)。中には広く観てもらいたいような傑作もあると思うのですが、原作の知名度がそれほど高くはないタイトルになってくると、残念ながら日本に紹介される機会がなかなかありません。

 今年は日英外交150年という記念の年。UK-Japan2008イベントにあわせて、この秋は、おなじみケーブル/CSのLaLaTVに、いろいろとすてきなドラマが登場するようですよ。わーい。

 注目は、やはり局でも大プッシュしている日本初放映の『ブリーク・ハウス』(小説邦題『荒涼館』)でしょうか。以前、UK版のDVDで観たのですが、ダークで斬新、スピーディーな演出で、面白いけれど時代がかって冗長なところもある大長編を、モダンなエンターテインメントに仕上げてありました。たいへんお勧めです。

 チャールズ・ダンス様の冷血弁護士、『リンリー警部』のナサニエル・パーカーなど、キャスト陣も超一流で、ディケンズ世界らしい濃ゆいキャラ造型を、入れ替わり立ち代わり、活き活きと魅せてくれます。きっと、ディケンズドラマに出て「おなじみのキャラ」を演じるのって、役者にとって気合が入ることなんでしょうね。ヒロインは美形ではありませんが、落ち着いた演技で、役柄とドラマに非常によく合っています。高慢なフランス人侍女、鳥をたくさん飼ってる老婦人、ジョージ軍曹なども印象的でした。

DC
『デビッド・コパーフィールド』


 『デビッド・コパフィールド』は、ディケンズの自伝的小説が原作。ダニエル・ラドクリフのデビュー作らしいので、レンタル店でたまに見かけることがあります。こちらもなかなか面白いです。
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2008年06月15日

ミステリチャンネルに『Sally Lockhart Mysteries』登場

 CS/スカパーのミステリチャンネルといえば、『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズ、『コナン・ドイルの事件簿』、そして『マナーハウス』など、私の大好きなプログラムをいろいろかけてくださるのでうれしい局なのですが。

http://www.ukjapan2008.jp/events/20080106_200176j.html

 UK-Japan2008のイベントページによりますと、11月に『Sally Lockhart Mysteries(原題)』を放映することが決まったようです!

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Philip Pullman『The Ruby in the Smoke (Sally Lockhart Quartet)』


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Philip Pullman『The Ruby in the Smoke: A Sally Lockhart Mystery』


※おそらく同じ内容ですが、ドラマ版カバーの新版の方が少し値段が高いですね。概要やレビューは下の旧バージョンのページに載ってます

 「サリー・ロックハート」シリーズとは。『ライラの冒険』のフィリップ・プルマンが手がけたヤングアダルト小説シリーズです。後期ヴィクトリア時代の英国を舞台に、若き女性主人公サリーが活躍します。

マハラジャのルビー
フィリップ・プルマン 山田 順子訳『マハラジャのルビー (sogen bookland サリー・ロックハートの冒険 1)』


 シリーズ第一作『Ruby in the Smoke』のみ日本語訳が出ていて、邦題は『マハラジャのルビー』。待ち構えて読みましたが、なかなか面白かったです。いかにもヴィクトリアンな、古典的道具立てをとりそろえたこども向けのロマンスかと思いきや、麻薬が謎を解くキーになったり、不幸な境遇の雑役女中が出てきたりと、ダークでリアルな部分も描き込まれているのが新鮮でした。続きも読みたいな〜。

 ※追記→文庫版が出ます。

 http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3865

 11月の放映がとっても楽しみです。

 えーっと、その。この勢いで「アレ」もぜひお願いしますよ……!
posted by rico at 18:48| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月28日

LaLa TVの英国イヤー

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『プリンス〜英国王室 もうひとつの秘密〜』


http://www.lala.tv/index.shtml

 CS/ケーブルの女性向けチャンネル・LaLaTVは、アメリカンドラマや韓流に混じって、英国もののドラマ、ドキュメンタリー、企画系、料理番組までがんばってよく流してくれます。近年では『フォーサイト家』『ロスト・プリンス』が記憶に新しいところです。

http://www.lala.tv/special/uk2008/index.html

 そのLaLaTV、今年は日英交流150年記念企画(UK-Japan2008)に参加し、英国つながりの文芸ものやロマンスものドラマを十五作品放映するそうです。中には日本初放映のタイトル、今年初めに本国で放映されたばかりの最新作もあります。

http://www.lala.tv/special/uk2008/lineup.html

『炎のエマ』(チャンネル4・1984年)/『ジェイン・エア』(2006年)/『ジェイン・オースティンの説得』(2007年・日本初)/『ジェイン・オースティンの分別と多感』(2008年・日本初)

 ん〜豪華! 『説得』はオースティン作品の中でも好きなので、一番新しい映像化を観られるのが今からとっても楽しみです。

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『バカニアーズ』


 8月放映予定の『バカニアーズ』は、すでにDVD化になっていますが、TVで放映されるのは珍しいかな? 原案は『エイジ・オブ・イノセンス』のイーディス・ウォートン。若くてピチピチした富豪のアメリカ娘たちが、ニューヨークを経てロンドン社交期に乗り込み、斜陽になり始めた英国貴族の夫を求める……というお話。十九世紀後半、だいたいこのくらいの時代(1870年代〜80年代?)の、英米上流階級の生活ぶりに興味がある方にはおすすめです。自然や建物や調度品、衣裳や風俗も見ごたえがありますが、社会のようすを想像しながら観るとさらに面白いです。

 というかですね。「さらに秋もビッグなラインナップが登場!」という一番下の煽り文句に、ついいろいろと夢がふくらんでしまうんですけれど……!
posted by rico at 22:49| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月27日

『幻影師アイゼンハイム』初夏公開決定

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http://www.geneishi.jp/

 映画『幻影師アイゼンハイム』(原題The Illusionist)の公式サイトが公開されました。着々とコンテンツが充実してきています。公開館は単館ではない様子。
 
 19世紀末のウィーン。人びとの心を自在に動かすほどの力を持つイリュージョニストのアイゼンハイムが、皇太子の婚約者である公爵令嬢と恋に落ちる。やがて事件が起きて……。謎と幻想に満ちたロマンスです。

 以前、飛行機の中で観て、その映像美と魅力的なストーリーに心を奪われ、小さくて暗いDVDの画面じゃもったいないよ! ぜひとも映画館で観たい! と心待ちにしておりました。好きな作品なのでヒットしてほしいなぁ。

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『プレステージ コレクターズ・エディション』


 公開が遅れたのは、同じくイリュージョンと謎を中心に置き、時代設定がほぼ同じの『プレステージ』と、題材がかぶりぎみだったせいかもしれません。あちらは天才的奇術師二人の怨讐と対決を描いたハードな作風。『アイゼンハイム』は恋愛要素の比重が大きく、しっとりとした雰囲気に包まれています。

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スティーヴン・ミルハウザー/柴田 元幸訳『バーナム博物館』


 ロマンス強調ということで、スティーヴン・ミルハウザーの原作とも離れています。細かな要素や、はしばしの描写や、匂い、雰囲気には近い部分もあるのですが、芯の部分を違えてきている感じもするので、原作を読み込んでいる方は、ひょっとしたらびっくりするかもしれません。個人的には、映画は映画でたいへん良い出来だと思いますし、小説も好きです。

 と、自分でいろいろ書いちゃっておいてなんなのですが(笑)、なるべく予備知識を入れないようにして観に行くほうが楽しめると思います。興味を惹かれた方はぜひ。5月末から順次公開です。
posted by rico at 10:58| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月24日

オンラインレンタル店を利用する

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『モンティ・パイソン&ザ・シークレット・ポリスマンズ 1976〜1991&2004 DVD COMPLETE BOX』


 近所にあまり充実したレンタル店がないのと、上記『シークレットポリスマン』が(主にフライ&ローリーのところを・笑)観たかったので、オンラインDVDレンタルの「ツタヤディスカス」に入会しました。事前に想像していたよりもずっと使いやすくて重宝しています。未DVD化やレンタル禁止の作品はありませんが、そうでなければたいていのタイトルは入っているし(リクエストも可能)、今のところ待たされることもなくスムーズに借りることができています。ひょっとしたら入会検討中の方がいるかもしれないので、ちょっと使い勝手など覚え書きしておきますね。ちなみに月8枚のAコースです。

 まず、観たい作品を検索&登録して「予約リスト」を作っておきます。リストの中の順位と在庫の有無と他のユーザーとの兼ね合いで、2枚のタイトルが自動的に選ばれ、メール便で送られてきます。観終わったら、到着時の封筒に入れ直してポストに投函します。先方に到着し、返却処理が確認された段階で、次のタイトルがまた予約リストから選ばれ、発送されてきます。なお、途中で郵便事故があっても賠償の必要はないそうです。保険がかかってるのでしょう。

 打ち合わせや習い事の日以外は原則として自宅勤務なので、ごはんの時間などを利用して少しずついろいろ観ていってます。映画館に行きそびれた作品をチェックしたり、自分でテーマを決めてつながりを探したり、昔好きだった監督や俳優の作品を追い直したり、制作国で検索して英国映画をかたっぱしからチェックしたり、名前だけしか知らなかった古典にチャレンジしたり、新しい楽しみ方がいろいろ見つかって良い感じです。というか、借りて観たらやっぱり欲しくなって買っちゃったりも(笑)。

 同じタイプの会社に「ぽすれん」「ゲオランド」「DMM」「Yahoo!レンタル」「楽天レンタル」などがあります。それぞれに強味弱味やクセがあると思うので、もし入荷タイトルに違いがあるようでしたら別のところも試してみるつもりです。

 遅ればせで観て面白かったタイトル。

ヴェラ・ドレイク
『ヴェラ・ドレイク』


 マイク・リー監督、イメルダ・スタウントン主演。1950年代のロンドン、労働者階級の平凡な主婦ヴェラは、けっして裕福ではないが、家族を愛し愛され、隣人を助け、しあわせに暮らしていた。しかし彼女はその家族にも秘密で、トラブルに見舞われた女性を非合法に「助ける」という行為をおこなっていた。
 繊細な時代背景の描き込み、生活感、どこまでも自然な演技のハーモニーが素晴らしい作品。空気の温度が伝わってきそうなやり取りや、イメルダ・スタウントンの顔いっぱいに浮かんだ表情を、いつまでも観ていたくなります。「とても重い」というレビューを読んで覚悟して臨んだのですが、観終わったあと暗い気持ちになるという感じではありませんでした。ずっしりとした余韻の残る作品です。

プルートで朝食を
『プルートで朝食を』


 ニール・ジョーダン監督、キリアン・マーフィー主演。1960年代のアイルランドで、親を知らずに育った女装のパトリック、通称キトゥンは、愛を求めてさすらいながら、「幻の女」――母を探してロンドンへ旅立つ。
 原作は自伝的小説だそう。いいことと悪いことの繰り返し、というか不幸の連続といってもいいような状態なんですが、それでもけなげに生きていくキトゥンがだんだん可愛く思えてきます。しかしポップで愛らしい小品と見せかけて、歴史的対立、暴力、カトリックの価値観等をきっちりと折り込んできて、パーソナルな語り口のうしろに広がりを感じさせます。詩的だったり俗物だったり、ファンタシーだったりリアルだったりで、面白い手触りを持っている、良い映画。好きです。

 つながりを求めて勝手にニール・ジョーダン祭り中。どの作品も音楽のセレクションがすばらしく、サウンドトラックが欲しくなります。青みがかった夜の画面が特徴的で、美しいです。
posted by rico at 01:54| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月19日

『魔笛』

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『魔笛』


http://mateki.jp/

 「良いよ」という話は各方面から聞いていて、映画館で観たいと思っていたんですけども、つい行きそびれまして。結果、大画面大音響で鑑賞できなかったことを後悔しています。レンタルなのに3周も観てしまいましたよ。正確には3回「聴いて」しまいました。音楽が良過ぎて。モーツァルトおそろしい。舞台のほうも観たくなりました。ぱぱぱっぱっぱっぱっぱっぱ〜♪

 2006年イギリス作品、ケネス・ブラナー監督。もともとつじつまがあわないので有名らしいオペラを、第一次世界大戦「ふう」の世界観におきかえて再構成しています。『西部戦線異状なし』みたいな(『ブラックアダー Goes Forth』も)塹壕戦から始まって、従軍看護婦が舞い踊り、夜の女王が戦車に仁王立ちで登場したかと思ったら、いきなり燕尾服とイヴニングドレスで舞踏会、心情に合わせて天気は変わるし昼夜も変わるし、空を飛んで鳥とたわむれてみたり、地平線の彼方までお墓が連なっていたり、なんというか、自由。映画であることの解放感に満ちています。

 個人的な経験ですが、昔、アニメーションにCGが導入されはじめたころ、あるアニメ映画の取材に行った時のことを思い出します。コンピュータで映像を処理する利点のひとつとして、「実際にカメラで撮影していたとしたら物理的に不可能なほどのスピードと奥行きまでカメラをズームできること」というお答えをいただいたのでした。舞台では移動できる空間は決まっていますが(だからこそ観客の想像力を飛翔させる生歌生声のパワーが大切なのでしょう)、映像は時間と距離を超えることができます。

 弱点としては、そうした派手な表現に慣れてしまって、心情描写系の曲で演者の表情をじっくり撮っていく時に逆に退屈になってくるところです。歌そのものは良いので、画面にあまり注目せず聴いているぶんにはすごく楽しいけれど、ストーリーを追って映像を観ようとするともどかしく感じてしまいます。こちらがオペラというものの楽しみ方に慣れていないせいもあると思いますが。

 演じている方々はほんものの歌手ばかりだそうです。また、元歌詞のドイツ語が英語詞に翻案されています。脚色を行ったのはわれらがスティーヴン・フライ。レンタルしたDVDは日本語字幕のみで英語字幕がなかったので、スティーヴン節が十分に味わえずに残念でした。
posted by rico at 00:50| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月23日

『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

 『スウィーニー・トッド』観てきました。ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演、原作は人気の舞台、そして設定は19世紀のロンドン!……ということで、私にとって不安要素はゼロに近い、鉄板の取り合わせです(笑)。期待通り、たいへん面白かったです。

 とある理髪師のベンジャミン・バーカーは、美しい妻ルーシーとの間に娘をさずかり、幸せな日々を送っていたが、妻を狙う悪徳判事ターピンに無実の罪をきせられ、監獄送りにされてしまった。15年後、スウィーニー・トッドと名を変えてフリート街に戻った彼は、パイ屋の女主人ミセス・ラベットの助けを借りて、剃刀を手に復讐へと乗り出していく。

 三時間の舞台から二時間の映画に短縮された関係で、エピソードを刈り込んだり曲を短くしたりしているそうですが、「無駄がない」「テンポがよい」と感じはすれど「物足りない」という印象は受けません。まるで場面転換もスコアの一部のようにどんどん展開していきます。一曲の歌にのせ、リズムにあわせて、サクサク、サクサクと「作業」が進んでいくところなど、残虐なのに笑いをさそわれます。ここは似た題材を扱った映画『デリカテッセン』 を連想しないでもありません。

 色と光のコントロールが素晴らしいと思います。人物の衣裳や、街の建物、「あたたかな炉辺」であるべき居間までも、すべてモノトーンに近い色で統一してあり、そこへときおり鮮血、炎、明かりの赤が差し込んでくると強烈な印象を残します。

 監督は時代設定には正確さを求めず「昔のハリウッド映画のセット」的な世界を目指したそうです。そのためか細部のものごとは意外にすっきりしています。もし本物らしさを追求するつもりなら、もっと多くの要素を並べることもできたはずですが、そうはしていません(家事使用人もほぼ登場しません)。色の少なさと殺風景さで、物語にぴったり合った荒涼たる雰囲気を作り出しています。しかし、そうしたロンドンの寒々しさとは反対に、幸せな回想シーンや、ミセス・ラベットが夢を歌う海辺のシーンには、色数は多く装飾は細かく、お花とかお洋服とか傘とか水着とかパヴィリオンとか靴下とかいろいろ豊かに描写されています。乙女の夢はディテールを要求するもの。そして、相手の心がまったく自分に向いていないのに、細部ばかりがこう際立ってくるあたりが、片思いの悲しさと滑稽さを強調しています。キャラクターの心情に寄り添って、色と密度を自在に変えていく、この世界観の構築ぶりがバートン監督の真骨頂です。

 冒頭、トッドが自分の部屋に戻り、かつての仕事道具・銀の柄の剃刀を手にした時、彼は腕を伸ばして刃を開き、自分の手を取り戻した、というようなことを言います。まるで手に剃刀がくっついたようなそのシーンを見たとき、とっさに「あ、エドワード・シザーハンズが帰ってきた」と思ってしまいました。

シザーハンズ
『シザーハンズ』


 1990年に発表された、ジョニー・デップ&ティム・バートンの出世作『シザーハンズ』。金髪の美少女と恋に落ちたものの、人びとの無理解と非寛容によって引き裂かれ、石持て追われ、ひとり屋根裏で腕についたハサミの刃を振るう、純真無垢な異形のモンスター。もし彼があのあと、恨みつらみを心の中でふくらませながら、年をとって大人になって、復讐を誓って帰ってきたら? そういえば映画の『スウィーニー・トッド』では、舞台版でもっと大きく扱われていたらしい若い二人のロマンスが脇に寄せられ、大人世代のトッドとミセス・ラベットが中心になっています。悪役も、地肌が気になるお年頃のアラン・リックマン。17年の時間を過ぎて、血をドバドバ出しても怒られないぐらいにえらくなった(笑)、バートン監督が、同じだけ年をとったジョニー・デップと一緒に『シザーハンズ』の15年後を描き直してみたのかな……と思いました。ひょっとしたらあと15年ぐらいたつと、別のハサミ/カミソリ男の物語がつくられるのかもしれません。

 って、記憶に頼ってつらつら書いてたら、監督自身が会見でそう答えていました(笑)。やっぱり!
 バートン:エドワード・シザーハンズが何年も一人っきりでいて鬱になったらスウィーニー・トッドになるんじゃないかなと思うよ。

 http://feature.movies.jp.msn.com/interview/080121_a_2.htm


 「スウィーニー・トッド」は、ヴィクトリア時代の安価で扇情的、俗っぽくていきあたりばったりな大衆小説群(ペニー・ドレッドフル)の流れの中で人気を集めました。いろいろなところでとりあげられていますが、こちらの本がおすすめです。

ロンドンの怪奇伝説
仁賀克雄『ロンドンの怪奇伝説』


 トッドが初めて登場したとされる連載小説『真珠の首飾り』(1846−7年発表)の概要が22ページに渡って収録されているのをはじめ、フリート・ストリートの歴史、当時の時代背景、トッド伝説のルーツと変遷など、とても興味深い情報が詳しく書いてあります。
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2007年12月02日

『世界ふれあい街歩き イギリス/ロンドンシティ・エディンバラ』

Lodon/Edinburgh
『世界ふれあい街歩き イギリス/ロンドンシティ・エディンバラ』


★『世界ふれあい街歩き』公式サイト

 NHKのまったり旅番組がDVDになりました。待ってましたよ。

 「ゆっくり歩く人」の目線に徹したカメラの映像と、現地の人への街頭インタビュー(質問の声はナビゲーターのアフレコによる日本語、回答は生の現地語+字幕)のみで構成されていて、レポーターっぽい人は姿を見せないので、本当に現地をぶらぶらお散歩している気分になれる番組です。

 下見や準備は入念に行いますが、事前の出演交渉はしない方針だそうです。たとえば、変わった建物に行きあたったら、適当にそのへんを歩いている人をつかまえて尋ねるんですが、時には無視されたり、聞いても「うーん、わからないなあ、ごめんね。ああっ思い出せそうな気がするんだけど……やっぱわかんない、ゴメン」みたいなことにもなり、そのまま通過していったりします(笑)。

★BSファン倶楽部『世界ふれあい街歩きの“秘密”』

 でも、旅行中に見かけたものって、謎が謎のまま終わることもありますよね。帰ったら調べようかなって思うんですけど、思うだけで忘れちゃったり(笑)。

 小路(クロウス)がいっぱいの古都エディンバラには憧れをかきたてられたものです。実際に訪れてテレビで見たのと同じ小さなモニュメントを見つけた時には感動しました。

 行った気になるもよし、帰ってきて懐かしむもよし、BGVにも良い感じ。たいへんおすすめのDVDです。

 ボックスセットもありますよ。ローマ編も良かったな〜。

BOX2
『世界ふれあい街歩き 第2期 DVD-BOX』


イタリア/ローマ
イギリス/ロンドン・シティ エディンバラ
スペイン/マドリード セビリア
中国/杭州 青島
北アフリカ/チュニス マラケシュ


BOX2
『世界ふれあい街歩き 第1期 DVD-BOX』


イタリア/ベネチア
スペイン/バルセロナ グラナダ
中国/北京・后海界隈 鳳凰
ベトナム/ハノイ ホイアン
中南米/ハバナ クスコ
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2007年09月11日

『About a Boy』

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『アバウト・ア・ボーイ』

 テレビで放映されるたびに見てしまう、大好きな映画『About a Boy』。BS2で放映されていたので、やっぱりまた見てしまいました。

 38歳のウィル(ヒュー・グラント)は、父親の遺産があるために、働いたこともなく、何事にも真剣にならずにダラダラと暮らしている。ガールフレンドもとっかえひっかえ、嘘をついても罪悪感なしの自他共に認める最低男だった。「シングルマザーなら後腐れなく遊べる」という最低な理由で、もちろん子供などいないし持つ気もないのに片親互助会に出席したりしている。そこで出会ったスージーとのデートに、彼女の友人の子マーカス12歳(ニコラス・ホルト)がくっついてきた。この「パンを投げつけて鴨を殺した日」を境に、小さなできごとが積み重なって、「人は皆、孤島のようなものだ」と思っていたウィルの毎日が変わっていく。

 役者の演技も演出も良いのだと思いますが(まばたきとか、震える声とか、間とかが絶妙)、脚本がとにかくすばらしいと思いました。面白さ楽しさの合間に、ふと寂しさが漏れ出すようなやりとりに引き込まれます。思い出深い場面がいっぱい。全編をとおして、名状しがたい独特の雰囲気があるんですよね。「いたたまれない、気恥ずかしい、逃げ出したい、でもなんか笑っちゃう」みたいな感じ。

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About a Boy [Soundtrack] /Badly Drawn Boy

 この雰囲気に大きく寄与しているのが、やさしい声とギターが奏でるサウンドトラックです。UKのアーティストBADLY DRAWN BOYがほとんどの曲を手がけているのですが、完成映像に合わせて曲をつけるのではなく、シナリオを読んだ印象から自由に想像し、作曲するという方式をとったそうです。結果、もちろん映画本編にもピッタリなのですが、サントラCDを1枚の独立したアルバムとしても聴ける仕上がりとなっています。愛聴盤です。

 原作はニック・ホーンビィの小説。終盤、かなり展開が違うらしいので、いつか読んでみたいと思いつつ……。
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2007年04月20日

『ベッカムに恋して』

 DVDで見た映画の感想です。

Bend It Like Beckham

『ベッカムに恋して』Bend It Like Beckham
グリンダ・チャーダ監督 2002年 英国

 http://www.albatros-film.com/movie/beckham/

 ベッカムみたいに曲げろ!

 ロンドン郊外に暮らすインド系の女の子ジェス(パーミンダ・ナーグラ)は、サッカーが大好きでデイヴィッド・ベッカムの大ファン。公園で男の子に混じってボールを追っている。ある日、ジュールズ(キーラ・ナイトレイ)という白人の女の子と出会い、女子チームの存在を知る。アメリカにはプロリーグもあって、サッカーで身を立てていけるかもしれないという。しかしジェスの前には家族の存在が壁となって立ちふさがる。女の子は家のことができるようになって、もっと確実な仕事について、同じインド人で宗教も同じ相手を見つけて、幸せな結婚をしてほしい。はたしてジェスは夢に向かうことができるのか?

 評判がいいのは聞いていて、ずっと見たいと思っていたのですが、噂どおり面白かったです。楽しくて、爽やかで、夢もロマンスもあるし、ちょっと立ち止まって考えさせられる瞬間もたくさん、コネタも遊びごころもいっぱい。そんな盛りだくさんな要素が有機的に噛みあってもりあがってキレイに落ちる、気持ちのよい映画です。

以下ネタバレです。続きを読む?
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2006年05月08日

『リバティーン』

5/1に観た映画の2本めです。かなりネタバレしてます。

●『リバティーン』

http://www.libertine.jp/

 17世紀の英国、王政復古の時代。詩人である第二代ロチェスター伯爵ジョン・ウィルモットは、新人女優エリザベス・バリーに出会い、彼女を大女優に育てるべく指導をはじめる。文学的才能に恵まれながら大作をものする気もなく、酒と女に命を浪費しつくした稀代の蕩児。チャールズ二世の宮廷に戯れた才人の半生を描く。ジョニー・デップ主演、ジョン・マルコヴィッチ共演。

 王政復古は1660年。資料をひいてみたところ、ウィルモットの没年は1680年で、映画はこの20年間を描いているようです。そのあいだに英国は、ペストとロンドン大火のコンボで大変なことになり、大々的な都市開発で復活したと思ったら、王の弟の信仰をめぐって王と議会が対立し、一触即発という状況に進んでいったということです。

 王と議会が正面きって争ってたり、陰謀や暴行事件が普通に起きたり、政争に敗れたら反逆罪なんていうところは、史劇だなーと感じますが、その反面、文化のほうは爛熟しきっていて、人の心や都市の空気は今ふうの感じ。ギャップが面白かったですね。

 17世紀英国のいろいろな風物が目で見られるのもよかったです。全体に漂う埃臭さ、娼婦の出入りする劇場のざわめき、鼻を刺してきそうな湿った空気、どろどろぐちゃぐちゃな地面、整形庭園、重そうな服の布地、昼なお薄暗い室内とか。「らしい」な、と感じました。画面が暗いという批判もあるようですが、個人的にはそんなに気になりませんでした。

 しかし、史劇で、大きなお屋敷など使ってロケをしているけれど、顔アップやバストアップの多い映画でもありました。終盤、ジョニデの顔が、性病に侵されて壮絶な勢いで崩れていくのがこの映画の見どころのひとつなのですが、そのあたりを大写しで見せたかったのかもしれません。まるこびっちもすごい付け鼻で、さらにカツラなので横顔のアップだと誰だかわかりません。顔芸映画?(笑)

 マイケル・ナイマンの音楽が美しいです。

 ロチェスター卿の猿グレアム グリーン 高儀進 訳『ロチェスター卿の猿』

 映画を観たあと、ちょこっと確認のつもりでグレアム・グリーンによる伝記小説をめくったら、面白くてつい全部読んでしまいました。
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posted by rico at 23:55| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』

 5月1日は映画の日。久しぶりに劇場で2本見てきました。ちょっと長くなりすぎたので2回に分けました。

●『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』

 http://www.nanny-movie.jp/

 妻に先立たれたばかりのブラウン氏(コリン・ファース)には、手のつけられないイタズラっ子が7人もいた。次々とナニーを追い出して勝ち誇る子供たち。登録所もブラウン氏を締め出して相手にしてくれない。ある日、誰もが一瞬息をのむほど異様な風体の不思議なナニー(エマ・トンプソン)がやってきた。ナニーのマクフィーは、恐怖の魔法で子供たちに大切なことを学ばせていく。はじまりはちょっと怖い『メアリー・ポピンズ』。

 芸達者な名優(子役も)がそろいぶみで、お話もなかなかおもしろく、堪能しました。お父さんの勤め先が葬儀屋で、死体に人生相談してみたり、イタズラの道具がギロチンだったり、英国らしいブラックユーモアはしっかりあります(マザーグースのこわいやつレベル)。美術や衣裳がとても凝っていて目に楽しいです。鮮やかな色で寓話的・人工的なイメージを描いていますね。時代設定は厳密ではないけれど、19世紀末〜20世紀初頭のイメージだそう。やたら毒々しいグリーナウェイドレス(ファンシーな童話挿絵風女児服)やフォントルロイスーツ(小公子風男児服)が見られます。アレってやっぱり、子供にしたら「無理やり着せられる恥ずかしい晴れ着」って感覚なんでしょうね。コスプレ?(笑)

 ブラウン家の使用人は、コックのイメルダ・スタウトン、スカラリーメイドのケリー・マクドナルド、加えてナニーの3人体制。軍隊じこみのイメルダも輝いていましたが、やはりやさしくて純朴でちょっぴり夢見がちな可愛いケリーに目が行きます。というか、一応ヒロイン的位置づけじゃないかと思うのですけど、エマの存在感がありすぎるのと子供の人数が多すぎるので、公式サイトのトップにすら姿が見えません。サイトの中に入ってもほとんどスチル写真がないですよ! 不憫な。ロバはいるっていうのに……(笑)。隠し玉というか、わざとなのかな?

 スカラリーメイドなケリー。→★コチラ★

 えーと、ここから先、ケリーについてダラダラ書いてますが、興味のない方置いてきぼりな話題になってます。ごめんなさい。(好きなものどうしがつながって嬉しいのって、説明しづらい感情ですよね……)
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2006年04月01日

死者の声

 『コナン・ドイルの事件簿』、昨夜は第3話の「死者の声」でした。薄暗くて救われない感じがよいですね。

 桟橋の見世物小屋、催眠術に交霊術、写真術、樺の鞭に阿片チンキと、前2話にまして小ネタが満載。ひとつひとつのフレーズから、いくらでも連想がふくらみそうな仕上がりです。枝葉へ分け入りそうになるところをぐっとこらえてるような感じを受けました。

 ゲストの登場人物がよく立っていておもしろかったー。ミッチェルさんとジャッドが好きです。

 http://www.nls.uk/digitallibrary/thomson/sixthpage.htm

 ミッチェルさんの撮っていた写真は、実在の写真家のものを引用していました。スコットランド出身のジョン・トムソンという人が1870年代にロンドンの生活を写したものです。

londonstreet
John Thomson, Adolphe Smitsh『Victorian London Street Life in Historic Photographs』
ISBN :0486281213

 当時の写真集を復刻した本。たいへんなまなましいルポルタージュ文がそえられています。大判の写真は細かい部分の情報量がとても多く、当時のロンドンの街の暮らしがひと目でいろいろわかるのでおすすめです。

 カテゴリの分類が面倒になってきました……。
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2005年11月02日

『ティム・バートンのコープス・ブライド』でヴィクトリアン

  cb_onesheet.jpg

 http://wwws.warnerbros.co.jp/corpsebride/

 映画の日なので観てきました。とても素敵な映画でした!

 『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』は劇場に何度も通ったぐらい大好き(ジャック目当てにPSゲームの『キングダムハーツ』を買い、クリアするのが嫌でナイトメアステージを延々ぐるぐる回ったりしたものです)。そのうえ19世紀ヨーロッパふうおとぎ話ときたら、もう倍率ドンっていうかお祭りです。わーん。もう1回見に行きたい!

 コープスブライドは美しく可愛く(なんか日本のフィギュアっぽいプロポーションですね。足きれいー)、ビクトリアも愛らしくって(じわじわくる可愛さだー)、ビクターもいいなー。というかジョニー・デップ本人にしか見えません。もちろん脇役もいいこといいこと。

 以下、ネタバレいっぱいのため白文字にします。

 ビクターの両親は魚の缶詰で財をなし、裕福だけど上流階級には入れない。ヴィクトリアの家は没落貴族。金庫の中には1ペニーもない(やはりイギリスベースなんですね)。農地からの収入が先細りになった貴族と、商業や工業で身を立てた資本家の縁組という事例は、実際によくあったそうです。19世紀の終わりごろを意識してるんでしょうね。

 冒頭、ピアノをひくシーンで、「付き添い(シャペロン)はいないんですか?」と聞くセリフがあります。シャペロンというのは、若い女性が男性と会うときに間違いが起きないよう見張り役をする人のことです。血縁の年配の女性がつとめることが多いみたいです。ビクトリアは「私たちもうそういう関係ですもの」と答えますが、案の定母親には「ふしだら」と責められます。

 ビクトリアは音楽を「情熱をあおる下品なもの」として禁じられています。中流以上の女の子は、結婚相手を捕まえるための技芸として、家庭教師にふつうは習うものだったらしいですが、たとえばお金がなくて先生やとえなかったのをああ言ってごまかしてるのかなとか、この母親って娘の幸せとかあんまり考えてなさそうだし、とかいろいろ想像がふくらむ設定です。反対にエミリーの方は情熱のままに踊り、ピアノも上手。このあたりの対比がよい感じ。

 御者の名前はメイヒュー。下層階級に入り込んでルポしたヴィクトリア時代のジャーナリストの名前からじゃないかしらと思います。コックニーなまり(ロンドンの下町なまり。『マイフェアレディ』のイライザがしゃべってたアレ)だったようでした。

 ウェイター頭(がしら)のポール。「ヘッド・ウェイター」が文字通り頭しかないのがおかしいです。ちなみにメイドや使用人の場合も「ヘッド・ハウスメイド」とか「ヘッド・サーバント」などと言います。頭だけのメイドさんを想像してしまいました(笑)。

 パブの名前が「ボールアンドソケット」で、元ネタはなんだろうと思って探してみたんですが、うーん、人形に使う球体関節のことかな?

 エミリーの花嫁衣裳は、朽ちてぼろぼろのせいもあるけどかなり大胆。足はまるみえだし(それ以外のものまで見えちゃってますが)。いっぽうビクトリアのはあごの下まできっちり隠れるハイネックでお上品。ここにも対比が。

 結婚式の食卓をいきなり玄関ホールで広げてますが、中世ぐらい古いホールはこうやって食事や寝泊りさえする機能がありました。建物のイメージは東欧だそうです。あそこでごはんを食べてると、堅苦しくて伝統好きという感じを与えます。そこに自由奔放な死体たちが乱入してめちゃくちゃにしてしまいます。

 パンフレットの記事によれば、バートンの処女作は『ヴィンセント』。短編フィルム『フランケンウィニー』の主人公はビクター。そういえば、作中でビクターが「ヴィンセント」って呼び間違われるシーンがありました。バートン=ヴィンセント=ビクターは、ダメダメに見えて優しくていい男に成長し、そして、めでたしめでたしになったのでした。良かったねぇビクター。


 思いつくまま書いてみましたが、ほかにも小ネタいっぱいあるんだろうな〜。もう1回見たい。DVDでたら絶対買う!
posted by rico at 02:17| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする