2013年03月24日

スティーヴン・「ジーヴス」・フライがルパート・グリントのUSコメディ番組で執事役を!(※追記あり)

※CBSの制作ラインナップから除外されることが決定してしまいました。残念!(http://www.rupert-grint.us/wordpress/2013/05/11/rupert-grints-super-clyde-not-picked-up-by-cbs/

 表題のとおり。一部のひとには(おもにわたしとか)ニュース!「ジーヴス&ウースター」のジーヴス役でおなじみスティーヴン・フライがルパート・グリントのUSコメディ番組に執事役として参加決定。

Stephen Fry To Co-Star In Greg Garcia’s CBS Comedy Pilot ‘Super Clyde’
By NELLIE ANDREEVA (Deadline / March 15, 2013)

 アメリカCBSでパイロットを撮影中のカメラ固定型コメディ(シットコム)「スーパー・クライド」。映画『ハリーポッター』のロン・ウィーズリー役で知られるルパート・グリントが主演する。プロデューサーはグレッグ・ガルシア、監督はマイク・フレスコで「マイ・ネーム・イズ・アール」など。

 お話は、意気地なしのファストフード店員クライド(ルパート)が突然巨額の遺産を相続し、スーパーヒーローをめざす、というもの。スティーヴンはクライドの「執事にして相棒のランドルフ」役。つまり「バットマン」のアルフレッドにあたる役回りらしい。パロディっぽい感じなのかな?



 1990年代の英国コメディドラマ「ジーヴス&ウースター」を踏まえたキャスティングなのは明らか。とても楽しみ。ただしまだパイロット段階なので、シリーズ化されるかどうかは上の判断次第。どうかうまく行きますように。日本版がついに発売される「天才執事ジーヴス」のDVDと合わせて見たい。

『ハリー・ポッター』ルパート・グリントがドラマ主演!ヒーローを目指すオタク青年役
by シネマトゥデイ(2013年2月15日)

 日本のサイトにはまだスティーヴンのことは報じられてないのかな。というかみんな興味ないのかな。えー。

Breaking America? Anything Hugh Laurie can do, Stephen Fry can do better
byFreddie Nathan , Adam Sherwin (Independent / 19 March 2013)

 アメリカでも日本でも、論調は「ハリポタスターの新作コメディドラマが…」だけど、英国での報道は違う。国宝ですから。大学時代以来の盟友だったヒュー・ローリーは「ドクター・ハウス」でひと足先にアメリカで大ブレイクしているので、「だったらスティーヴンもいけるんじゃ?」と期待に胸をふくらませる英国メディアであった。

2013年03月07日

『天才執事ジーヴス』日本語字幕つきDVD、5月発売決定!



 英国コメディドラマ「ジーヴス&ウースター」の日本語版DVDが5月に発売されることなりました。やったー! 待ってた! 待ちすぎて暴れる寸前だった!

 まずは上の予告編ムービーを見てみてください。ああやっぱりいつ見ても可愛い! そして日本語! 日本語がついてる…ついてるよ…!(感涙) バーティーが歌ってるよ…! ああこの軽やかなテーマミュージックよ…! ヒュー・ローリーにスティーヴン・フライ…! 50分×2話収録で2,310円ってまあがんばったほうだと思う…!



http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336056528/
https://twitter.com/KokushoKankokai

 発売元は翻訳版小説の発売元のひとつである出版社の国書刊行会。なのでISBNがついてます。攻めの姿勢が好ましい。公式ツイッターアカウントでの情報によれば、Amazon初め各書店での予約は5月上旬に開始、版元からの直接注文なら電話やFAXでの予約も受け付けるとのこと。(わたしこんなに待ってたし……待ってたひと多そうだし……ちゃんと行き渡るかな……? がっちり予約しなくちゃ……!)

 P・G・ウッドハウス原作、バーティー役はヒュー・ローリー(ドラマ「Dr. House」)。ジーヴス役はスティーヴン・フライ(「オスカー・ワイルド」「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」マイクロフト役など)。

 ケンブリッジのコメディクラブで出会い、「フライ&ローリー」としてお笑いの冠番組も持っていた大の仲良しの二人が、幼少のみぎりから大好きだった原作に、愛をそそぎまくって絶妙なアレンジを加えて、民放ITVで1990年代に制作した傑作コメディドラマ。とにかく可愛くて楽しくて笑えるの、あと萌えるの……! 日本語版発売でたくさんのひとが楽しんでくれるときがほんとに楽しみです。

2011年10月22日

ハロウィンについてのよくある質問

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 もうすぐハロウィンですね。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』大好きです。「ハロウィンってそもそもなんなの?」というあたりを、わりとよく、なぜか年に一、二回は聞かれるので、この機会にまとめておきます。

●FAQ

Q:ハロウィーンっていつなの?
A:10月31日です。

Q:ハロウィーンってなんなの?
A:10月の最後の日に行われる祭り。ケルト文化に起源を持つと言われます。ケルトの暦では11月1日が一年の節目となる日で、その前夜には超自然的な精霊たちが人間に危害を加えると信じられていました(チャールズ・カイトリー 澁谷勉訳『イギリス祭事・民俗事典』大修館書店)。
 なお、11月1日はキリスト教の暦にも組み入れられて「諸聖人の日」になりましたが、ハロウィーンはその起源のためか、教派によっては許容されないようです。

Q:「トリック・オア・トリート」って?
A:トリックはいたずら。トリートはもてなし、ごちそう、お菓子のこと。「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」という掛け声です。上記の古い祭りにのっとって、お化けなどに扮した子どもが近所の家をまわってお菓子をせがむ風習です。

Q:ヴィクトリア時代の英国ではハロウィーンってどんなのだった?
A:あまりよく知られた祭りではありませんでした。「お菓子をくれなきゃ……」の風習は、アイルランドからアメリカに伝わって広まったもので、イングランドでは長らくなじみがありませんでした。この、アメリカ風のハロウィーンの催しが英国に逆輸入されたのは、ほんとうについ最近だそうです。

●映像資料

 ハロウィーンの催しが、いかに英国でなじみがなく、アメリカ的な文化とみなされていたかという事実が反映された映像をご紹介しておきます。スティーヴン・フライとヒュー・ローリーによる英国BBCのお笑い番組『A Bit of Fry & Laurie』で放映されたスケッチ(コント)のひとつです。1990年放映のシーズン2。YoutubeのBBC公式配信映像です。

Hallowe'en advice - how to deal with Trick or Treat kids


(以下は村上による私家訳です。映像を再生しながらどうぞ)

スティーヴン:ではこれから、正しい方法とまちがった方法をご覧にいれましょう。幼いこどもたちがハロウィーンにやってきて「トリック・オア・トリーティング」しようとしたとき、どう対処すればいいか。

ヒュー:まず最初にやるのは、ドアベルが鳴るのを待つことさ。

スティーヴン:すてきなカーペットだね、ヒュー。タイディマン社のかい?(※不自然な商品CMをはさむというこの回独特のギャグ。ネタには関係なし)

ヒュー:ほかのなわけないよ。なんかの駄洒落で言ってるの?

スティーヴン:駄洒落って何が?

ヒュー:違うか、ごめん。

(ベルが鳴り、ヒューがドア開ける)

子ども:トリック・オア・トリート、おじさん。

二人(嬉しそうに):ああ! トリック・オア・トリートだって!

ヒュー:スティーヴン、ジェリービーンズか何かお菓子を入れた小袋を用意してなかったかな?

スティーヴン:もちろんあるにきまってる。僕がとってこよう。

(スティーヴン去る)

ヒュー:で、やんちゃっ子たちよ、フットボールは好きかい?

右の子:うん。

ヒュー:今年のアーセナル(※フットボールチーム)はどう。いいかい?

右の子:ぜんっぜん。あっでもうちのお姉ちゃんにはすごい興奮する。

ヒュー:(はぁ、そう)

スティーヴン(戻る):さあお菓子だよー。

子ども:どーも。

ヒュー:じゃあね!

(笑顔でドア閉める)

ヒュー:今のが、紳士淑女の皆さん、まちがった方法です。ぜんぜんまちがってる!(激しく)

スティーヴン(手で×をつくりながら):まちがってる!

ヒュー:まったくまちがってる!

スティーヴン:まちがってる!

(ドアベル鳴る)

ヒュー:今から正しい方法をごらんにいれましょう。

子ども:トリック・オア・トリート、おじさん。

スティーヴン:……何?

ヒュー:何だと!?

スティーヴン:いま、何と言った?

子ども:トリック・オア・トリート。

ヒュー(憎憎しげに):トリック・オア・トリートだと!?

スティーヴン:オエエエッ!

ヒュー:トリック・オア・トリート!?

スティーヴン:そこへ直れ、二人ともだ!

ヒュー:ここはイングランドだ! アメリカじゃない! ふざけたこと抜かすと……。

(二人で子どもをブン投げる)

スティーヴン:ここはアメリカじゃなーい!

2011年07月16日

引越し完了/『ダウントン・アビー』スターチャンネルで放映決定/ジーヴスもお願い

●引越し完了しました。

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 これが。(前の家の最終日)

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 こうきて。(新居の書庫四畳半)

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 こうなった。(ついさっきの惨状)

 廊下もまだ箱でいっぱい。仕事部屋はすかすか。気が遠くなりますが、お仕事しつつ少しずつ片付けていこうと思います……。

●英国ドラマ『ダウントン・アビー』

 http://www.star-ch.jp/channel/detail.php?movie_id=20123&channel_id=1,6

 CS&ケーブル等のスターチャンネルにて9月より放映開始。(来月8月14日のはプレビュー放映かな?)英国の民放ITVで2010年につくられた、時代もののオリジナルドラマシリーズです。



(米国PBS版公式プロモ)

 時代設定は二十世紀初め、ちょうどタイタニック事故のころ。上流階級の暮らしぶりや、その生活を支える使用人たちの人間模様をねっとりじっとり描きつつ、物語は謎が謎を呼んでスピーディーに展開していきます。

 UK版のDVDを買ってちょっとだけ鑑賞したのですが、これまでのいろんな「階上・階下もの」小説やノンフィクション、映画やドラマの流れをふまえて、愛好者に目くばせを送るような要素が多く、総決算的な作品なのかな、と感じました。

 原案・脚本は『ゴスフォード・パーク』のジュリアン・フェローズ。マギー・スミスその他の名優、舞台となる邸宅のロケ地は「ハイクリア・カースル」。いろいろと目の保養になります。

 楽しみです。放映までに録画できる環境を確保しないと……!

 ところで

●『ジーヴス&ウースター』を放映してくれる局はないのですか……!


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 http://www.itv.com/drama/family/jeevesandwooster/picturegallery.html

 P. G. ウッドハウス原作、ヒュー・ローリー(『ドクター・ハウス』)とスティーヴン・フライ(『オスカー・ワイルド』『ゴスフォード・パーク』)主演。おひとよしでちょっとまぬけで、始終トラブルに巻き込まれている主人のバーティーを、有能で切れ者で腹黒な執事ジーヴスが華麗に救う、というお気楽コメディドラマです。

 こちらも英本国では非常に人気があり、いくつかのシリーズがつくられて計23エピソードが存在します。繰り返し再放送され、ひろく愛されてきたようです。いまのところまだ日本では放映されていません。

 それはまあ、1990年代の制作ですから、ちょっぴり前の作品かもしれないですけれど、時代に左右されない内容ですし、ほんとにほんとに面白いんですよ。可愛いし萌えるし楽しいんですよー。ほんわかしますよー。いまの世の中に最も必要な、お笑い英国執事ドラマですよー! どれほど待ち望んでいるファンがいることか。この楽しさを分かち合える仲間が増えたら大喜びですよ。

ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)
P.G. ウッドハウス P.G. Wodehouse
4167705923


感謝だ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
P・G・ウッドハウス 森村たまき
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 原作小説は大好評。
(文芸春秋社はハードカバー版が好評につき文庫化。国書刊行会はぞくぞく訳されて完訳間近。二社から出ちゃう人気ぶり!)

プリーズ、ジーヴス 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)
勝田 文 P.G.Wodehouse
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 2008年より日本で独自に制作されているコミック版も大人気。(勝田文さん作、白泉社。既刊2巻絶賛発売中!)

 円高でお買い得になってたりしませんかね……? どこかの局の方、ぜひよろしくお願いします……!

2009年04月18日

『Dr. HOUSE』地上波放映決定!

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Dr. HOUSE/ドクター・ハウス シーズン1 DVD-BOX1


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Dr. HOUSE/ドクター・ハウス シーズン1 DVD-BOX2


 ヒュー・ローリー主演、アメリカの医療ミステリードラマが地上波・日本テレビで放映されます。やっほー! あの眼光と毒舌が全国のお茶の間で(深夜だけど)。すごく面白いドラマなので、みんな見て!

 日テレ『Dr. HOUSE ドクター・ハウス』公式サイト
5月5日(火)スタート
毎週火曜日
25:59〜26:54 放送

 1話完結型の謎解きモノですから、途中からでも(だいたい)大丈夫。とはいえ、ファーストエピソードはもともとパイロット版であったらしく、それだけに、ハウスという一筋縄ではいかないキャラクターの大切な行動原理や、作品の魅力のほとんどがぎゅーっとつまっています。ぜひこの機会にアタマからどうぞ。

 ※追記

 まずはDVD公式サイトの予告編を見てみてください。
 ショートバージョン、ロングバージョン、ヒューのインタビューあり。(wmvです)

http://www.universalpictures.jp/sp/drhouse/movie.html

 前に書いた記事はこのへんこのへんにあります。

 ヒューのことになると、なんか胸がドキドキしてうまくまとまらず、ちょっと書きかけてはつい自重してしまうんですが(笑)、ぜひ応援していきたいです。

2009年02月27日

キャッツミートのこと

 ※今日の記事には動物好きの方が不快に感じる内容が微妙に含まれているかもしれません。

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『比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)』
P. G. ウッドハウス 森村 たまき訳


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『ジーヴズの事件簿 (P・G・ウッドハウス選集 (1))』
P・G・ウッドハウス 岩永 正勝・小山 太一訳


 二十世紀初頭を舞台に、超有能な執事(ヴァレット)のジーヴスと不運な御主人様バーティーがおりなすコメディ小説シリーズ。に、出てくるキャラクター、とくに男子勢は、なんというか、名前だけで笑える感じのひとが多いです。

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『サンキュー、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)』
P・G・ウッドハウス 森村 たまき訳


 たとえば『ジーヴスと朝のよろこび』に出てきた「スティルトン・チーズライト」とか。スティルトンといえば英国名物のとてもおいしいブルーチーズで、苗字に合わせたニックネームですね。あとは『サンキュー、ジーヴス』(傑作! 大好き)に出てきた「第五代チャフネル男爵マーマデューク(チャッフィー)」とか。マーマデュークは実在のファーストネーム。バーティーが彼の恋人ポーリーンから初めてそれを聞かされた時には笑ってしまうし、グラナダドラマ版の『ジーヴス&ウースター』(日本語版発売祈願!)でもそういう描写があった気がするので、あちらでもかるくおもしろい響きのお名前なんだなぁと想像できます。人名事典にも載っていて、語源はアイルランドの聖人、有名人には元BBCの偉い人などがいるそうです。

 話がそれました。チャッフィーも好きだけど、今日は別の人のことを書こうとしてたのです。どうもジーヴスがらみの話を始めると、ついついとっちらかっていきます……。

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『ジーヴスと恋の季節 (ウッドハウス・コレクション)』
P. G. ウッドハウス 森村 たまき訳


 さて、一目みて「凄い名前だ……」と思わざるを得ないのが「キャッツミート・パーブライト」氏。職業は俳優。お人よしのバーティーを不幸のどん底にたたき落とすことに長けたひどい人ぞろいの登場人物の中では、どちらかというとまともな部類のキャラクターではあります。でもキャッツミートって。ネコ・肉って! と、名前が目に入るたびにそこはかとなく震え上がっていたのですが、最近、誤解がとけました。

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『London Town』
Thos. Crane & Ellen Houghton


 1883年に出版された子供向け絵本の復刻版です。初めてロンドンに上京したヴィクトリア時代の子どもの目線で、各地の名所・旧跡、当時の都市風俗、種々さまざまな物売り・街頭証人などの様子を、リアルとデフォルメの中間くらいの絵柄で描き出していきます。同時代の写真集で見たことのある構図の絵が時々出てくるので、新聞報道やガイドブックなどを作画資料に利用して、細かいところを描いたんではないでしょうか。

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 手元にある1985年復刻のハードカバー版だと、原画の傷や汚れがときどき気になりますが(印刷された古い本を原稿にしてるのかも)、それでも明るく上品な色づかいがすばらしくて、お気に入りの一冊です。ロンドン塔のビーフイーター、コベントガーデン、路上のアイスクリーム売り、道路掃除夫、警官、パンチとジュディ……。眺めているだけでにやにやしてしまいます。

 さて、絵本によだれ垂らしてないで本題に戻ります。

 こんなページがありました。

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 「The Cat's-Meat Man」。猫飼ってる家に「ネコ肉男」が来てますよ! ひじにえくぼのむっちりした少女が「このこはぜったいおにくになんかさせないわー! うわーん!」みたいな顔で猫を抱きしめて守っています(私にはそう見えます。気のせいかもしれません)。でも、メイドさんとネコ肉男は笑っています。「女王陛下の御用商人」と書かれたカート、手にしたカゴのには串に刺さった小さい肉片、なんの肉ですかそれはー。

 辞書をひいたら、出てるものと出てないものがありましたが、「Cat' Meat=猫の餌肉」となっています。だいたい馬肉で、転じてペットフードのことだそうです。なるほどネコ肉男はペットフード売りだったのですね。たしかに、ソースは忘れてしまいましたけど、英国では馬の肉を食べることは伝統的に忌避されてきた、という話をどこかで読みました。

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『愛の旅だち―フランバーズ屋敷の人びと 1』
K. M. ペイトン 掛川 恭子訳


 児童向けロマンス『フランバーズ家の人びと』でも、愛馬を処分しなければならなくなった時、隣の農場につれていって最後は猟犬に……というエピソードがありましたっけ。

 誤解は解けたものの、それにしたって「猫の餌肉、くず肉、下等肉、ペットフード」なんてニックネームもたいがいです。キャッツミート氏の過去に何があったか気になります。イートン校の寄宿舎でペットフードでもむさぼり食っていたか、度を越した猫好きだったのか、たんなる語呂合わせか(その可能性も高そう)、気になりだして『恋の季節』を読み返しましたが記述は見つかりませんでした。邦訳がすすめば、そのうちわかるのかもしれません。引き続き応援していきたいと思います。

 コミックス版の予約もはじまってますよー。

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『プリーズ、ジーヴス (1)』
勝田文

2009年02月09日

Stephen Fry『HIV and me』のこと&『BONES』に再登場!?

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『Stephen Fry - HIV And Me [2007]』※UK版DVD


<シリーズ 立ち上がる人びと>『私はHIV感染者 〜告白した人びとの思い〜』
(NHK-BSによる番組紹介サイト)

 昨年の暮れ、12月1日の「世界エイズデー」にあわせて、BS「世界のドキュメンタリーシリーズ」で、スティーヴン・フライがホストする特別番組『HIV and me』が放映されていたことにあとから気づいて大ショックです。リピートも放映済み。あ、思い出すだにまた悲しくなってきた……。

 ぜひ再放送していただきたく思います。また、『HIV and me』に先駆けて制作された、躁うつ体験に関するパーソナルなドキュメンタリー『The Secret Life of the Manic Depressive』の方も非常に評価が高いので、こちらもぜひ日本語版で放映していただけないかと思います。

 えー、気を取り直しまして。ご本人のtwitterでの発言や、速報系ファンサイトの情報によると、米ドラマ『BONES』の新しいエピソードに、スティーヴン演じる精神科医ゴードン・ゴードン博士ことDr.Wyattが近く再登場するようです! 雪のロンドンを飛び立ち、ロスで撮影していた模様(もう終わったかな?)。

ご本人の発言:

America first: another episode of Bones. Then Mexico. Then Indonesia. Packing for hot climates and jungle.
5:41 AM Feb 4th from web

 『Dr.HOUSE』『BONES』をクロスオーバーさせて、フライ&ローリーのドクター対決やってよ! というファンの声もたえないこの2作品。脚本家どうしが協力して、良い条件を整えれば、試してみるのもなかなか面白いと思うんですけどね〜。

2009年02月02日

『Dr. HOUSE/ドクター・ハウス シーズン1 DVD-BOX1』日本語版BOXセット 予約受付開始&ジーヴスもお願い

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Dr. HOUSE/ドクター・ハウス シーズン1 DVD-BOX1


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Dr. HOUSE/ドクター・ハウス シーズン1 DVD-BOX2


DVD『ドクター・ハウス』公式サイト

 「人間性は過大評価されてる」「誰もが嘘をつく」――口も態度も最悪で、片足が不自由で杖をつき、鎮痛剤中毒のグレゴリー・ハウス医師が、誰にも治せない正体不明の症状で担ぎ込まれた患者の病因を、大胆な推理と破天荒な治療法で突き止めていく。新感覚の医療ミステリードラマです。

 難病を追い詰める謎解きと人間ドラマ、笑えるところとシリアスなところ、人間不信とヒューマニズム、たまに泣けたり、といった緩急ないまぜ具合が絶妙です。キラッと光る珠玉のセリフや、鋭い演出・演技が満載。主演のヒュー・ローリーは、ゴールデングローブ賞や映画俳優組合賞、テレビ批評家協会賞など、テレビ関係の各種アワードを総なめにしていて(エミー賞だけはなぜかまだ)、国内放映ではスカパー初の視聴率調査で一位をとったりもしています。

 なのにいつになったらDVDが出るのか全然音沙汰がなく、やきもきしておりました。それもこれも5月9日までのこと。ついに日本語版発売ですよ。やったー! ……ってあれ、妙に安いと思ったらシーズン1を2分割?

 CS/スカパーのFOXチャンネルにて放送。地上波でもやればいいのに。

 以前に内容を少しご紹介した時の文章はこちら。個人的な感想をいうと、シーズンが進むにつれ、若干停滞を感じる期間があったりするのも事実なのですが、シーズン1と2は全体的にすばらしいです。特にシーズン2終盤のテンションは神がかり的でした。

 ところで、

比類なきジーヴス
『比類なきジーヴス』


ジーヴズの事件簿
『ジーヴズの事件簿』


 今こそ、今こそ、ヒュー・ローリー&スティーヴン・フライによる、英国グラナダテレビのドラマ『ジーヴス&ウースター』日本語版を出すべき時がきたんじゃないでしょうか? (以前書いた文章はこちらとかこのへん

 たいへん面白くて楽しく可愛い、珠玉の執事コメディです。ぜひ日本語でも見たいです。

 勝田文さんによる漫画化『プリーズ、ジーヴス』も3月に発売だそうで、楽しみにしています。

 ここのところ(主に頭の中が)大忙しであまりブログを更新できず、書きたいことがぼちぼちあるので、また近いうちに何か書きに戻ってきます。

2008年07月26日

『Wilde』(1997)

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『Wilde』※UK版 英語字幕あり


ワイルド
『オスカー・ワイルド【字幕版】』※日本版VHS


 少し前、スティーヴン・フライ主演の『オスカー・ワイルド』を観ました。UK版のDVDで、リージョン2・PAL方式・英語字幕つきです。本格的に彼のファンになるよりずいぶん前にレンタルビデオで観て以来。何年ぶりだろう? とにかく久しぶりです。

 ちょっと見るだけ! ちょっとだけ! と自分に言い聞かせながら臨んだのですが。1880年代〜のロンドンや海辺の風景や、フロックコートの裾やらステッキやらにひとしきりうっとりしたあげく、案の定、映像特典のインタビューまでうっかり見入って(聞き入って)しまいました。いけません。

 1997年イギリス作品。若いころからウィットとライフスタイルで知られたオスカー・ワイルド(スティーヴン)の半生を、静かな映像美で描いていきます。運命の愛人ボジーにジュード・ロウ。ほんのチョイ役にオーランド・ブルーム。元愛人で生涯の親友にマイケル・シーン。母親役にヴァネッサ・レッドグレイヴ! という豪華なキャストで、いろいろ美しいです。

 ……ご本人を除いて……。

 いやもう、言葉づかいはベルベットのごとくに流麗ですし、理解も造詣も深いですし(映像特典では監督や脚本家をさしおいて語りまくり。自前ポッドキャストの第三回でも台本無用で語りまくり)、所作はエレガントですし、初主演映画だけれど演技も悪くない……と思います。しかし、どうファンのひいき目で見ても美形俳優とはいえないです。私としてはとってもチャーミングだと思うのですが! うー、せつないなー。一本の映画としてもたいへん良い出来なので、ビデオの置いてあるレンタル屋さんで見かけたらぜひ観てみてください。

 関係ないですが、ボジーの父親で、ワイルドを獄中に追いやり命を縮める結果になった九代クイーンズベリー侯爵って、ボクシングの「クイーンズベリー・ルール」の由来になった人なんですね。知らなかった! ボクサーをつれてワイルドのとこに乗り込んだりしたらしい。へぇ〜。

2008年03月09日

Stephen Fry『Moab is my Washpot』

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Stephen Fry『Moab is my Washpot』


 英語の学校で一緒の高校生M子ちゃんが、スティーヴン・フライの自伝を読み始めました! す、末恐ろしいー。ヘタレの私は、ぱらりとめくって気が遠くなり、そのまま積んであります(笑)。だってスティーヴンの文章、豊穣すぎなんですもん。

 The hamster-chick-squirrel-downy-woodland thing nodded to show that it saw.


 3ページ目にしてこれです。ちなみにこのプルプル震えるちっちゃい生き物は、寄宿学校に戻る列車の中で乗り合わせた新入生のこと。

 すでに自伝的小説『The Liar』を発表していたスティーヴンが、二十歳までの体験を、今度は実名で記した自叙伝です。ヒューとはケンブリッジで出会う前なので、フライ&ローリーの活動についてはほとんど触れられてないようです。が、スティーヴンの家族写真(お祖父様が凄い美形)にまじって若い二人の写真が入ってました。

 M子ちゃん、英国人の先生に「それはとってもタフだよ〜。彼のユーモアは難しいから」「気をつけて、ゆっくり読みなさいね」というようなことを言われていました。がんばって読み通して内容を教えてほしいものです。

 あっ。「ゆっくり読みなさい」の真意は「18禁だから」じゃないですよね……! 恋の話もガッツリ出てくるらしいですが。

 ……や、やっぱり私も時間つくって読もうかな……。

2008年03月03日

漫画『プリーズ、ジーヴス』

メロディ4月号
『Melody (メロディ) 2008年 04月号』


http://www.hakusensha.co.jp/melody/ml0804.html
http://www.kokusho.co.jp/news/news_body.html

 「メロディ」4月号が発売されました。P.G.ウッドハウスの小説『ジーヴス』シリーズを勝田文さんが漫画化する『プリーズ、ジーヴス』、はじまりました。どきどきして読みましたが、たいへん好きな感じの仕上がりでした!

 原作の小説は、地の文もセリフもくどすぎるぐらいに饒舌で、そこが魅力でもあるのですが、漫画のほうではほどよく整理されていて、そのぶんすごい勢いでストーリーが展開していきます。スピードは速いけれども、勝田さんのとぼけた雰囲気は守られているんじゃないかな、とも感じます。練り込まれたんではないでしょうか。

 整理されたかわりに、コマのスミのへんな物、手描き文字、多人数の表情によるコミュニケーションなどなど、活字外の情報がいっぱいです。ドラマとも違う漫画ならではの楽しさで、読み返しがいがありますね。小説のほうも再読したくなります。

 バーティーの点目とか線目とか、アホすぎる妄想とか、犬のマッキントッシュとか、いきいきと頬を染めるオノリアとか、カタツムリとか、寝室でうさぎを飼ってしまったヘンリー伯父さんの図とか。なんかもう、いちいちいちいち可愛いです。

 今後に期待したいのは、ジーヴスのふだんのお仕事にまつわる描写です。いえそのまだ足りないといいたいわけではぜんぜんなくて、いくらでも見たいので……(笑)。差し出した帽子のうえにちょこんと乗っかったボタンホールの花がよかったです。毎回の楽しみにしたいと思います。

 そうそう、ヒュー・ローリー&スティーヴン・フライのドラマ版(日本語版放映祈願!)でも、さすがに再現できなかったポイントといえば、ジーヴスの後頭部(笑)。知性のしるしとして頭の後ろが突き出しているさまは、特に断りなく、しかしきっちりと描かれておりました。

2008年02月20日

Stephen Fry Podgrams

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(例によって本文と商品はそれほど関係ありません)

http://stephenfry.com/podcasts/index.html

 スティーヴン・フライが自前のPodcastを始めました。

 タイトルにBroken Armとあるとおり、彼は今年の1月(この記事を書いた直後?)、絶滅危惧種に関するドキュメンタリーを撮影中、事故で腕を骨折してしまったそうです。昨年中のものすごい仕事っぷりや完成間近のタイトルについて、それからブラジルでの事故の状況と心境について率直に語っています。「正直な人」とは彼を評してよく使われるフレーズですが、あまりに率直すぎて、特に中盤、かなり参ってしまってるように聞こえるのが心配です……。早く元気になってほしいです。

 『The Dam Busters』という映画の脚本を書いた、という話が気になります。古典的戦争映画『暁の出撃』(1954年)のリメイクで、第二次世界大戦中、ダム破壊作戦を担った英国の飛行隊を描くというものらしいです。初稿をあげたあと、英国内で生還者の方々や関係者に話を聞き、二稿を完成させたとのこと。ピーター・ジャクソンのプロデュースで2008年公開予定。

2008年02月17日

『Peter's Friends』 US版DVD&『Dr.HOUSE』

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『Peter's Friends』※US版 英語字幕あり Region1 NTSC方式


 アメリカの医療ドラマ『Dr. HOUSE(邦題)』がヒットしているおかげで、USではヒュー・ローリーの過去作品が次々と良い状態でDVD化しています。先日ご紹介した映画『Peter's Friends』は2月12日にUS版のDVDが発売されて、アマゾンの表記を信用すれば、どうやらUK版とは違って英語字幕も入っているみたいです(スペイン語字幕も)。

(すみません、リンク先間違ってたので直しました21:30)

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http://www.foxjapan.com/tv/bangumi/house/

 さて『Dr. HOUSE』、去年からこちら、すっかりはまってみています。好きだー。英国コメディ時代のヒュー・ローリーは『ジーヴス&ウースター』のバーティーや『ブラックアダー』のジョージなど、脳みそ部署が不足気味な英国上流階級のお坊ちゃまがはまり役だったのですが、ハウス医師はそれらとまったく違う陰のあるキャラクターです(アメリカ人設定ですし)。優秀だけれど意地悪で皮肉で傍若無人、他人を寄せ付けず、口を開けば問題発言ばかり、脚が悪くて杖をついて歩き、心にも傷を背負っている様子。複雑な内面をファニーな言動で包み隠し、しかしいざという時には何よりも雄弁に瞳で語ります。ヒューお得意の「顔芸」が全開。軽快な会話、コミカルな動作、すごい眼力をじっと鑑賞しているだけで、40分くらいあっというまに過ぎてしまいます。新しいエピソードを観るたびに「ああー、今日も面白かったー!」「次回も楽しみだー!」という、やばいくらいの幸福感に浸っておりました。

 いえその、ヒューの顔芸のことばっかりでもなくて(笑)、脚本も良いと思います。基本となるのは、まず原因不明の症状で担ぎ込まれた患者を、さまざまな推理と試みの繰り返しで診断していく、という一話完結型のストーリー。随所に『シャーロック・ホームズ』へのオマージュがあって、病気を犯罪に見立てたミステリーの面白さを備えています。そのメインの謎解きに、医師たち患者たちの人間ドラマが脇筋として積み重なっていくわけですが、これが、お涙ちょうだい一辺倒でもなく、かといってニヒリズムに徹しているわけでもないという、微妙なラインを行き来するドライ感で非常に好みです。

 ヒュー・ローリーはこのタイトルロールでゴールデングローブ賞を二度も受賞しました(ほかにもいろいろ受賞)。脚本とあわせて、作品の魅力を一身に背負う名演といってよいでしょう。

 現在、CS&ケーブルのFOXチャンネルでシーズン1の日本語吹き替え版が放映されています。シーズン2の字幕版も随時リピート中で、シーズン3の放映まち。興味をもたれたら、できれば字幕でヒューのイイ声も楽しんでほしいです。

 これも早く日本語版のDVD出ないかなあ。『ジーヴス&ウースター』は悲しいことに何の予兆もみえませんが、『BONES』も出ることだし、『ハウス』はいずれ近いうちに発売されるはず。と信じて、国内未放映エピソードをつい買っちゃいそうになる自分の手をぐっと抑えております……。

ハウス
『House: Season Three (5pc)』


 あっ……意外に安い……。

2008年02月13日

『ピーターズ・フレンズ』でカントリーハウスパーティー

コミックビーム
『コミックビーム 2008年 03月号』


 森薫さんの『エマ』グランドフィナーレおめでとうございます。おつかれさまでした。

「頻繁に更新したいと思います」などと書くとぱったり止まってしまうの法則。書きたいことやりたいことはたくさんあるのですが、思っているだけにとどまっている計画は自分の胸にしまっておくことにします。


 ……。


 (しまい中)


 ……。


 (収納完了!)


peters
『Peter's Friends』※UK版 字幕なし


 スティーヴン・フライとヒュー・ローリーが共演した映画『ピーターズ・フレンズ』について少し書きたいと思います。若々しくみずみずしい(特にひざから下のあたりがたいへんまぶしい)二人の姿を鑑賞できる、フライ&ローリーファンの貴方には見逃せない一本ですよ。

『ピーターズ・フレンズ』(※VHS)

 って、例によって例のごとくDVD未発売……。とっても良い作品なんですが。ケネス・ブラナー自作自演の出世作なのに。エマ・トンプソンにイメルダ・スタウントンなのに。スティーヴンはタイトルロールだし、ヒューなんてピアノにギターにヒューマントランペット、果ては自作曲まで披露してるのに!

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 ベッドの上でイメルダと踊り狂うシーンがものすごく可愛いです。これだけでモトがとれたような気持ちです。

 ……んー。ちょっと地味でしたか〜。

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 本題にまいりましょう。時代は映画公開時にリアルタイムの1990年代初頭。そこから少し振り返った80年代に大学の喜劇サークルで活動した仲間たちの群像劇です。父親が亡くなり、古くて大きなカントリーハウスと貴族の称号を受け継いだピーター(スティーヴン)が、大晦日を一緒に過ごそうと、しばらく会っていなかった仲間たちを招いたところからお話が始まります。サークル内で結ばれたカップル(ヒュー&イメルダ)もいれば、愛人(トニー・スラッタリー)をつれてきた恋多き女(アルフォンシア・エマニュエル)や、困った妻(リタ・ラドナー)をつれてきた男(ブラナー)、恋心を秘めた女(エマ)もいて、再会を喜ぶ和やかな空気の中にも大小さまざまな事件が数珠繋ぎに起こっていきます。

 ひと言でまとめてしまうのがもったいないような雰囲気を押して、非常に英国らしい映画、とひとまずは結論できるかと思います。悲しみや怒りのようなマイナスの感情はギリギリまで抑えられ、隠され、その外側はそこはかとないユーモアにくるまれています。基本ラインはコメディで、面白いシーンはいっぱいあるけれど、大口を開けて笑うのとはちょっと違うような感じ。すごく好きな感じです。

 脚本も演出も役者もすばらしいですが、英国のカントリーハウスに興味を持っている方には、「現代のカントリーハウスパーティーを描いた映画」として別方向から楽しむこともできると思います。八割がたはずっと同じ邸の中で物語が進行しますから、寝室からキッチンから裏側から、心ゆくまで堪能できます。内部は別の場所の可能性もありますし、構造に撮影上の嘘があったりもしそうですが、見ていてへ〜っと思った部分や、面白いところがいっぱいありました。

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 まず冒頭、書斎にて。ピーターは亡き父から邸を受け継いだものの、実は財産がほとんどなく、売るしかない状態であることが語られます。本や文具や書類のファイルや、かっこいいばかりでもないたくさんのものがごちゃごちゃと積みあがり、文化財ではなく使われ続けてきた場所ならではの生活感を演出しています。

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 スタッフには、父の代からこの家で働いてきた家政婦兼料理人のヴェラ(フィリダ・ロウ、エマ・トンプソンの実母)と、その息子の二人だけが残っています。住み込みではなく通いです。年季の入ってそうな廊下を歩きながら、客人の部屋割を決めていきます。ピーターのカーディガンが可愛い(笑)。

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 人手不足のため、「ご主人様」は腰をさすりつつ邸の裏で自分で薪を割ります。ピーターのマフラーが。

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 みんなで炎を囲んでくつろぐ居間。

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 ヴェラの根城はもちろんキッチンです。もはや封建精神を求められる100年前ではありませんから、お客様といえども勝手は許しません。ローストビーフじゃなくてヴェジタリアンメニューを作ってちょうだい、というアメリカ人女優の「命令」など、あっさり却下してしまいます。

 すると返事は「あなた『Upstairs, Downstairs』(※70年代の英国主人/使用人ドラマ)見たことないの?」……このドラマはアメリカでも放映されてブームになりました。英国製のソープオペラを見て「英国の忠実な使用人」像を刷り込まれてしまったアメリカのソープオペラ女優(そして夫は英国人)、という図式がねじれた笑いを誘います。

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 サークルの思い出の写真を撮ったのもキッチンなら、女同士の深夜の出会いも、朝のゴシップも、そして最後の打ち明け話も、みんなここでのできごとです。やっぱり家のハートはキッチンなのですね。

 撮影に使われているのは、ハートフォードシャーのWrotham Parkという18世紀のカントリーハウス。一般には非公開で、撮影やレセプションなどの貸切使用に特化しているようです。最近では『チャーリーとチョコレート工場』にもちらっと出てましたし、『ゴスフォード・パーク』だったり、ドラマ『ジーヴス&ウースター』のチャフネル・ホールだったりもします。IMDbのロケ地リストをみると、かなりいろいろな映画に登場しているみたいですね。

2008年01月16日

日本語字幕で見られるフライ&ローリーのコント

 こんにちは。新成人の方、おめでとうございます。私のほうも新しいお仕事が始まって、ちょっと引きこもったりしてました。

 今年はこれまでよりも少し多めにブログを書きたいです。自分の中で「まだ未完成だなあ」「ちょっと荒削りかなあ」と感じていても、好きなことをなるたけコトバにしていこうと思います。

 というわけで、皆さまそろそろ飽きてきてるかもしれませんが、まだ続きますよ。

 ドラマ『ジーヴス&ウースター』でジーヴスとバーティーを演じていたスティーヴン・フライとヒュー・ローリーは、大学で出会った親友/創作パートナーで、80年代〜90年代にはテレビのコント番組を持っていたお笑いコンビだった、という件について以前の記事で書きました。

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『A Bit of Fry & Laurie: The Complete Collection... Every Bit [1989] 』※UK版 英語字幕あり


http://www.bbc.co.uk/comedy/abitoffryandlaurie/index.shtml

 そのお笑い番組、見てみたいよ! という方もいらっしゃるかと思います。私もです。ものすごく面白いです。英国では4シーズンも作られるほどの人気でした。しかし、残念ながらDVDは今のところ英語のみ。『ジーヴス』と同じく日本では未放映です。全体的に知的ではありますが、過剰な英語の言葉遊びや、英国固有の時事問題、クィアというのかきわどいネタも多いので、日本では人気が出ないと判断されたのでしょう。『リトルブリテン』『ボラット』が通る今の空気なら大丈夫かも。

 ローワン・アトキンソンの『シン・ブルーライン』という番組の第6話にスティーヴンが出てたり、同じくローワンの『ブラックアダー』に二人でレギュラー出演してたり、コメディドラマ『フレンズ』にヒューが一瞬だけ出ていたりと、ほかの人がメインの番組にスポットで出演したものはいくらかあるのですが、コンビでのコントの日本語版はほぼない感じです(あったらぜひ教えてください!)。そんなフライ&ローリー不毛の折ですが、こちらのDVDでいくつか観ることができました。

シークレットポリスマンズボール
『モンティ・パイソン&ザ・シークレット・ポリスマンズ 1976〜1991&2004 DVD COMPLETE BOX』


 人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルへの注目を高めるという目的で、70年代後半から何度か開かれた、コメディと音楽のイベント。

 我らがフライ&ローリーは、以下の三本で参加しています。「ジョン・クリーズを称える」以外は特にタイトルがなかったので勝手につけました。

■DISC.4 ザ・シークレット・ポリスマン・サードボール / THE SECRET POLICEMAN' THIRD BALL / 1987年

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 『垣根コント』

 店員さんとお客さんの会話、かと思いきや……。初めはちょっとわかりにくいのですが、流れがつかめて「あっ」と思ったときに感動があります。どんどん役割を入れ替えていく呼吸の合いっぷりが二人らしい。途方に暮れるオチの空気もすばらしい。スティーヴンが主催したチャリティイベント「ヒステリア3」でも同ネタを披露してます。

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 『ジョン・クリーズを称える』

 モンティ・パイソンのジョン・クリーズに功労賞を与えよう。いろんな意味で酷すぎるコント(笑)。同じ大学のコメディクラブ出身で、「モンティ・パイソンの影響が濃い」と評されることもある、という背景を考えあわせると味わい深いです。

■DISC.5 シークレット・ポリスマン・ビゲストボール / THE SECRET POLICEMAN'S BIGGEST BALL / 1989年

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 『ヒューの受賞ポエム』

 今でいうゴスとかエモとかヴィジュアル系(?)みたいな暗黒邪悪レトリックを操るスクールボーイ・ヒューと「ワーズワースはそんなこといわない」校長・スティーヴンの不毛な対話。テレビ番組でもやっているネタの舞台版です。

 セル版DVDボックスで紹介してますが、ディスク1枚ずつ単品扱いのレンタル版も出ていて、オンラインレンタル店の「ツタヤディスカス」「ぽすれん」などでも借りられます。

パイソン
『「空飛ぶモンティ・パイソン」“日本語吹替復活”DVD BOX』


 あっ、モンティ・パイソンのコントも、もちろん面白かったですよ! 日本語吹き替え入りのDVDボックスセット、欲しいなぁ、どうしようかなぁ……と迷っております。

2008年01月09日

スティーヴン・フライを聴こう

paddington
A Bear Called Paddington [Audiobook] (CD)


(ちょうどいい写真がなかったので、かわりにパディントン)
(でも似てる)

 スティーヴン・フライは、自身のブログでの発言によれば、1984年に英国で二人目にMacを買ったという伝説の持ち主です(最初のひとりは『銀河ヒッチハイク・ガイド』のダグラス・アダムスですって)。普段からネットやテクノロジーに親しんでいる様子。そのためか、少し探してみると、彼の声を無料で聴ける良質なコンテンツがネット上にちらほら見つかります。

●Interview with Stephen Fry

 http://www.number10.gov.uk/output/Page10937.asp

 2006年2月公開、ダウニング街10番地(英国首相官邸)公式サイトのポッドキャスト。労働党トニー・ブレア前首相と、いろいろ語り合ってます。首相官邸の歴史的な雰囲気について、グローバル化と分断化について、「ブリティッシュネス」について、などなど。二人ともクリアな標準英語を話してますし、書き起こし(トランスクリプト)があって、20分程度の長さもお手ごろ。イギリス英語のリスニング教材にぴったりです。

●Good Morning Sir

 http://www.voco.uk.com/

 「執事の声で起こしてくれる目覚まし時計」として、ちょっと前にネットニュースをにぎわせていた商品。「サー用」と「マダム用」の二種類が出ていて、ジーヴスふうの台詞で起こしてくれます。文面がかなり笑えます。「首相があなた様にどうしてもアドバイスをいただきたいと二度も電話をかけてまいりました」とか。「ヴォーグの編集者があなた様の美しさを表すためにアルチュール・ランボーにチャネリングすると申しておりました」とか。「申し訳ございません、使用人がみな逃げてしまいましたのでご朝食はご自分でなさってください」とか。……ひどいよジーヴス!(笑)こちらでサンプル音声をダウンロードできます。

●Sir John Soane's Museum Audio Tour

 http://www.soane.org/audio.html

 ロンドンのど真ん中にある小さな博物館のオーディオガイド。イントロダクション(01 Overview)を担当しています。対談やインタビューなどの話し言葉ではなくひとり語りのナレーションで、ゆっくりはっきりと話してくれているので、聞き取りやすいです。ジョン・ソーン博物館は、18〜19世紀に活動していた建築家が自邸を改造したもの。とても素敵なところみたい。次の機会にはぜひiPod片手に訪ねてみたいと思います。

PLANS
清水 晶子『ロンドンの小さな博物館』


 読み物としても、実用的ガイドブックとしても(新書ながら!)、とっても面白いおすすめの一冊です。「サー・ジョン・ソーンズ・ミュージアム」は最初に紹介されています。

PLANS
長谷川 尭『ロンドン縦断―ナッシュとソーンが造った街』


 ヴィクトリア時代よりちょっと前の19世紀初頭までに活躍した二人の建築家と、その仕事について解説した本。こちらも面白かったです。図書館などでどうぞ。


 DVDのご紹介とか、バーティー役のヒュー・ローリーについてとか、何か書きたいのですが、また今度。

2008年01月08日

『プリーズ、ジーヴス』キャラ絵

 国書刊行会のサイトに勝田文さんのカットが紹介されてます。

 http://www.kokusho.co.jp/news/index.html

 ああ、どきどき。(アヒルちゃん……!)

2007年12月31日

スティーヴン・フライさんについて

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 ドラマ『ジーヴス&ウースター』でジーヴス役を演じたスティーヴン・フライについて少し書きたいと思います。

 この方のプロフィールが述べられる時、内訳はその都度いろいろですが、なんにせよ長々と肩書きを列挙するのがお約束のようになっています。コメディアン、アクター、ライター、ノベリスト、TVプレゼンター、ディレクター。あと「ハリーポッター・リーダー」というのも(笑)。フィクションもノンフィクションも舞台や映画の脚本も書き、『Bright Young Things』で監督もしていますし、テレビ、ラジオ、ドキュメンタリー、授賞式の司会進行役に引っ張りだこです。才人ですね。

 1957年生まれで、今年の夏に50歳の誕生日を迎えたスティーヴンさん。BBC4が局をあげてお祝いしてくれた、国宝的存在のフライさん。原語の綴りがStephen Fryなのでステファンというカタカナ表記になっていることがありますが、発音はスティーヴンです。オーストリア、ハンガリー、ユダヤにルーツを持つ家(信仰はユダヤ教ではなく、「Reason is my religion」→記事)の出身で、ロンドンのハムステッド生まれ、ノーフォーク育ち。悪いことをしてぶち込まれたりもした私立学校時代を経て、ケンブリッジのクイーンズ・コレッジに進みます。喜劇クラブ「フットライツ」に参加し、1981年にエマ・トンプソンの紹介でヒュー・ローリーと出会うと、すぐさま意気投合、一緒に創作を始めます。

 このフライ&ローリーの共同作業は、80年代から90年代にかけて、『ジーヴス&ウースター』を含む多くの作品に結実することになりました。つまりドラマのジーヴスとバーティーは、作品のためにキャスティングされた2人ではなく、もともと十年来の親友/創作パートナーなのでした。最近ヒューと一緒のプロジェクトはありませんが、友情は続いているようです。

 彼はまた、ゲイであること、躁鬱病と戦ってきたことをおおやけにしています。ひとたび口を開けば、柔らかなイギリス英語でシモネタ・ゲイネタをとめどなく繰り出し、その一方でまんまジーヴスのように古今東西の文学・哲学・政治・雑学を縦横無尽に引用もします。良い俳優であることは確かですが、選んだ役柄を並べてみると、演じながらも常に自身のありのままの姿をさらしているようだ、と評する向きもあります。(→記事 しかしよりによってこの写真……)

 秘密をかかえた柔和な青年貴族を演じた『ピーターズ・フレンズ』、苦悩する『オスカー・ワイルド』、そして知的でちょっと意地悪な執事ジーヴス。日本ではCSのFOXチャンネルで放映されているアメリカのドラマ『BONES』に、イギリス人の精神科医役でゲスト出演していたのですが(シーズン2の13話、14話、17話に登場予定)、何かこう、めちゃめちゃ「素」というか自然体の演技で、それでいてここぞという時にはすごい存在感を発していました。これは彼をイメージした「あて書き」なのでしょうか。

 広く長く活躍している方(々)ですから、過去の仕事を全て追うなど無理なことですが、『ジーヴス』を入口に大好きになったので、まずはお笑いのテレビ番組や、時代もの映画の出演作から、少しずつ鑑賞しています。もともとファンの皆さまには基本のアイテムばかりかと思いますけれども、次の機会に、お気に入りのDVDを簡単にご紹介します。

 「彼は国民の宝だが、個人の宝でもある。僕は彼をイギリス国民みんなと共有しているんだ」――ヒュー・ローリー

 というわけで、良いお年を。

画像引用元↓

2007年12月28日

勝田文『プリーズ、ジーヴス』予告

 http://www.hakusensha.co.jp/melody/ml0804.html

 ジーヴス漫画の予告カットでました。うわーバーティーだー。08年2月28日発売の「メロディ」4月号よりスタート。クレジットによると国書刊行会・森村たまき訳の『比類なきジーヴス』が原作のようです。

比類なきジーヴス
『比類なきジーヴス』


 関係ないけど『秘密』のアニメ化も気になります。

2007年12月25日

ご主人様、使用人部屋に入らず(2)

 少し映像を確認して、2、3枚画面写真を撮って、などとDVDプレーヤーを立ち上げたのが運のつき。ちょっとのつもりがそのままどっぷり鑑賞モードになってました……。そんな私のクリスマス。

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『Jeeves And Wooster : Complete ITV Series (8 Disc Box Set)』※UK版 英語字幕あり


 20世紀初頭、第一次世界大戦(1914〜18)と第二次大戦(1939〜1945)にはさまれた「戦間期」の英国を舞台に、ちょっと足りない上流階級の若主人バーティー・ウースターと、すごい頭脳を持つ執事(バトラーではなく、ヴァレット)ジーヴスが活躍する、P.G.ウッドハウス原作のドラマ『ジーヴス&ウースター』。ドラマに出てくる使用人部屋について少し書かせていただきたいと思います。なお、名前や小道具などの設定はドラマベースです。小説を既読の方には特に問題ないと思いますし、話の大筋や、特に美味しいシーンには触れないつもりですが、ほどほどにドラマのネタバレがありますのでご注意ください(日本語版放映祈願!)。

ロンドンのキッチン
 ジーヴスは、調理器具や冷蔵庫、カップボード、流し、いろいろな仕事に使う大きな作業台をそなえた小部屋を拠点にしています。そこでお茶をいれたり料理を作ったり、アイロンをかけたり靴を磨いたり、銀器を磨いたりしています。用途からいうと、大邸宅でいうところの執事室(バトラーズ・パントリー)と厨房をあわせたようなものかしら、と思いきや、バーティーはシンプルに「キッチン」と呼んでいました。もうひとつジーヴスの縄張として、玄関ドアの脇にウォークインクロゼットもあって、出かけるときに使う帽子や手袋を出し入れしているようです。中の様子は残念ながらわかりません。

 バーティーのいつもの住まいはロンドンの高級街にある「バークレー・マンション」。ときどき(おばさんたちから逃げ出して)ニューヨークの超高層ビルにしばらく住んだり、田舎の小さなコテージを借りたりもします。他人のカントリーハウスへの滞在でない限りは、どこでも同じようなキッチンが付属したスイートを選んでいます。見比べてみると、ニューヨークは仮住まいのせいか、キッチンは小さいようです。逆にバーティーの弾くピアノがでっかくなってる!(笑) 遊び用のねぐら、っていう感覚なのかも。

家事本を読むバーティー
 労働知らずのご主人様であるところのバーティーは、趣味でカクテルを作ることはできますが、お茶をいれたことはないようです。ジーヴスの留守中に『ビートン夫人の家政の本』と首っ引きでいれようとしたこともありますが、味がどうとか以前のお湯を沸かす段階であえなく敗退。のちに再び挑戦した時も、やっぱりコンロの着け方がわからず、ジーヴスに「電気でございます、サー」とか冷たく言い放たれてました(バーティー……)。アイロンも調理器具もすべて電気らしく(見た覚えがないけどガスオーブンはあるかも)、居間には電話が引かれています。

起立、着席
 バーティーは、前回の記事で書いたような、使用人区画にアクセスし放題のお子様ではなく、りっぱな成人男子なのですが、キッチンにガンガン踏み込んでいきます。作業台で靴磨き中のジーヴスが一息ついているところへ、いつものように人間関係トラブルで弱り切ったバーティーがふらりと現れます。気づいたジーヴスが立ち上がろうとすると、バーティーは「ああ、そのまま」と鷹揚さを発揮し、それを受けてジーヴスはまたすっと座ります。この、一見むだなような、儀式めいた手順が、何かこうぐっときます。一定の敬意は残しつつ、適度なイージーさもあって。この部屋の中では誰も見てない、礼儀作法は抜きで頼むよ、みたいな空気が流れます。

打ち明け話をしているところ
 キッチンは打ち明け話の場です。「ジーヴス、そのう、実は……婚約したんだが」ピキッ! ジーヴスの目がするどくなり、一瞬にして空気が凍ります。こわっ!!(笑) ヒュー・ローリー(バーティー役)もスティーヴン・フライ(ジーヴス役)も、それはそれは「顔芸」がお上手です。コメディアンの本領発揮といったところ。

 ジーヴスとバーティー、2人きりのシェルターから一歩外に出ると、前の時代から連綿と続く、厳然たる主人/使用人関係もまた存在するらしいことに気づきます。紳士のクラブにやってきたバーティーは、歩きながら流れるような仕草で手袋をはずし、帽子とステッキと一緒に使用人へぽいっと渡します。お嬢様たちは旅行カバンなんか絶対に持たず、執事やフットマンを使います。バーティーがいっとき、横顔の美しさのために本気で惚れてしまったご令嬢は、自家の使用人たちに対してかなり強権的にふるまっていました。

 そうはいっても、旧い階級社会の息苦しい一面は、ほどほどの表現に抑えられているように思います。庶民の生活や、ジーヴス以外の家事使用人の具体的な描写はあまり出てきません。その一方で、可愛いウェイトレスやバーメイドや歌手との、身分違いの結婚をもくろむ紳士たちが、阻止したい親族たちと攻防を繰り広げる、といった図式が頻出します(男女逆転パターンもあり)。恋する紳士淑女のもくろみは、成功したり失敗したり、いろいろです。

 ウッドハウスの描いた『ジーヴス』の世界には、戦争の影は一切なく、階級間の対立がシビアに迫ってくることもありません。小説の解説文やキャストのインタビュー(*1)を読むと、「現実ばなれした、イノセントな理想郷である」という趣旨の指摘がよく出てきます。そんなファンタシーであればこそ、「ジーヴス部屋、いいなぁ」と思えるのでしょう。

 いいなぁ――はおいといて、最近、ふたつの世界大戦が人びとの日常と気分に与えた影響に興味をひかれています。特に何かの形にする予定はありませんが、関心の赴くままにいろいろ読んだり見たりしている今日このごろです。

恋の季節
P.G.ウッドハウス著/森村 たまき訳 『ジーヴスと恋の季節』


Daddy
勝田文『Daddy Long Legs』


 小説最新刊の『ジーヴスと恋の季節』解説によると、漫画化は白泉社の「メロディ」にて、勝田文さんが手がける予定とのこと。勝田さんといえばウェブスターの『あしながおじさん』を、日本を舞台に翻案した『Daddy Long Legs』がよかったので、ドキドキしながら期待して待ちたいと思います。

(*1) バーティーを演じるヒュー・ローリーは、学校の作文で「ウッドハウスのやさしき1920〜30年代」について書いたら「脇に連れ出され、あんな世界はぜんぜん存在しないんだって聞かされて、しょんぼりしたよ。まるでサンタさんはいないんだって教えられた時みたいにぞっとする瞬間だった」と語っています。ジーヴス役のスティーヴン・フライも「すばらしい世界。まるでスフレの中にダイブするように、飛び込みたくなる場所」とスイートな発言をしています。2人とも、少年時代からの原作ファン。スティーヴンは11歳のころからこの世界に魅せられ、15歳の時にウッドハウスにファンレターを送ってサイン入りの写真をもらったそうです。

インタビュー引用元:

Masterpiece
Terrence O'Flaherty『Masterpiece Theatre: A Celebration of 25 Years of Outstanding Television』