2017年01月24日

『図説 英国社交界ガイド』紹介とあとがき公開



『図説 英国社交界ガイド エチケット・ブックに見る19世紀英国レディの生活』
村上 リコ 著
単行本 A5変形 ● 128ページ
ISBN:978-4-309-76249-4 ● Cコード:0339
発売日:2017.01.26

 19世紀の英国において、力を増した中流階級に属する女性たちは、貴族や地主の生活スタイルをまねることで、少しでも上の「社交界」に近づこうとしていた。当時、数多く出版されていた「エチケット・ブック」の記述を手がかりに、ヴィクトリア時代の中流女性が送った社交生活を再現し、彼女たちの心情に迫る。

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 2017年1月26日ごろ発売になります。河出書房新社「ふくろうの本」シリーズで4冊目の新しい書きおろし本です。読んでくださるみなさま、いつもありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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 詳しい目次です。クリックで拡大すると読めます。

 社交とは、人付き合いのこと。社交界とは、身分の高い人びとが交際する小さな社会。19世紀から20世紀初頭の英国で、「社交界に入りたい」人、「その世界で名誉ある地位を占めたい」人が、「武器」として、あるいは「パスポート」として、身につけておかなければいけなかったものはなんだったのか。エチケットを覚え、服装を整え、紹介を受けて訪問し合い、本格的なパーティーに招き招かれ、もてなしもてなされ、互いを品定めし、地位上昇を狙う……。そんな彼女たちの日常と野望を、当時の「エチケット・ブック」の記述から考察しています。もし自分だったらどうするだろう……と、身近に感じてもらいたくて、書き方を工夫してみました。

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 いつものように、当時のようすがわかるような風俗画、風刺漫画、ファッション画などもいろいろと収録しています。

 この本で何をしようとしたか、書いてみてどうだったか、以下に「あとがき」を公開しますので、読んでいただけると幸いです。


 あとがき

「エチケット」が苦手です。
「空気を読む」のもとても下手です。
 そんなわたしですが、たまに英国ヴィクトリア時代を舞台とした作品の制作に参加して、当時のマナー、エチケット、人どうしの距離感やふるまい方の「法則」を調べる仕事をすることがあります。そうしてわかった情報を、一冊の本にまとめておけば、いずれリファレンスブックのように使えるかも――と、そんなもくろみ(取らぬ狸の皮算用)のもと、この本の企画を立てました。
『社交界ガイド』というタイトルは編集部でつけていただいたものです。この題から、華麗なる上流社会のすべてがわかる、貴族とつながりがあったりする「ハイソサエティな」人が書いた本……を想像してお求めになった方がいたとしたら、ご期待を裏切って申し訳ありません。わたし自身は王侯貴族や社交界などまるで縁がなく、むしろ現実世界では、階級社会に疑問を抱いているほうです。
 エチケットは苦手です。
 どうしてそんなに苦手なのか、この本と向き合って、少しわかった気がします。人付き合いに暗黙のルールがあること。その、ひとつひとつのルールを決めているのは誰なのか、よくわからないこと。ルールがひとり歩きして様式化していくこと。客観的に見ることができれば面白い現象ですが、なんというかこう、社会のルールを理解できず、「空気を読めず」、きまりの悪い思いをした過去のあれこれがよみがえり、執筆にはいつも以上に時間がかかってしまいました。関係各位にはご迷惑をおかけしました。
 マナーは大切だよ、思いやりだよ。人生を豊かにするよ、という考えの方にも、わたしのようにエチケット全般が苦手な人にも、この本が、何かを考えるきっかけになってくれれば幸いです。

二〇一六年一二月 村上リコ




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2017年01月10日

2017年のご挨拶と新刊『図説 英国社交界ガイド』のお知らせ

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『パンチ』1867年8月31日、ジョージ・デュ・モーリエ「ティットウィロー夫妻、おいとまごいをいたします」より。(文字無しの図版と解説は新刊本に収録予定)

 旧年中はお世話になりました。本年もよろしくお付き合いのほどをお願いいたします。
 
 2016年は、前年の『図説イングランドのお屋敷』に続き、トレヴァー・ヨーク著『図説英国のインテリア史』の翻訳書を出すことができました。マール社より好評発売中です。また、12月に宮城学院女子大学に招いていただいておこなった講演も印象に残っています。学生さんたちの言葉に触発されて、わたしも自分の考えを素直に表現していかなければいけないという思いを新たにしました。ありがとうございました。
 
 太田詩織著『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人』シリーズの監修をさせていただきました。19世紀の生活を北海道で真剣に再現するという内容の連作短編小説です。

 枢やな著『黒執事』では引きつづき漫画連載のアドバイザーをつとめています。また、今月公開になる劇場版『黒執事 ブック・オブ・アトランティック』ではひさびさにアニメ制作の考証協力もしました。

 国書刊行会より、「シャーロック・ホームズの姉妹たち」と題して、19世紀末と20世紀初頭にイギリスとアメリカで発売されたレアな女性探偵小説の邦訳が発売されました。ファーガス・ヒューム著『質屋探偵ヘイガー・スタンリーの事件簿』レジナルド・カウフマン著『駆け出し探偵フランシス・ベアードの冒険』(いずれも平山雄一訳)の二冊に、僭越ながら解説を寄せています。「当時の生活や女性に関することならなんでも自由に」とのご依頼だったので、本当に自由に書かせていただいてしまいました。お読みいただけますと幸いです。

 そして昨年後半はオリジナルの著書に取り組んでいたのですが、思いのほか苦労して時間がかかってしまい、現在にいたります。ようやく今月末、河出書房新社ふくろうの本より『図説 英国社交界ガイド エチケット・ブックに見る19世紀英国レディの生活』として発売になる予定です。「エチケット・ブック」の記述を通して19世紀英国ミドルクラス女性の社交生活を想像する本です。詳しい内容については、追々紹介していきますね。

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 書影はまだですが、書店での予約は始まっています。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
posted by rico at 00:57| 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする