2016年12月04日

翻訳書の企画持ち込みの話


 先日、仙台の宮城学院女子大学で学生さん向けに講演をし、翻訳出版をしたい本があるが、企画の持ち込みはどうやってするのか、という質問を受けました。これはたまに聞かれることでもあるので、自分の場合を少しまとめておきます。あくまで自分の場合であって、他の方はまた違う経験をされていると思います。

 なお、自分自身もまだまだ経験の浅い身であり、経歴を存じ上げない方から個人的に企画を送っていただいても、世に出してさしあげる力はありませんので、あらかじめご了承ください。

 まず、最初の著書『図説 英国メイドの日常』を書いたときに付き合いのできた担当編集者に、次に翻訳して出したい本の企画書と試訳を渡して、検討してもらい、運よく形になったのが『英国メイド マーガレットの回想』です。先の本の中に、自分が魅力的だと思う記述を引用して論拠にしていたので、先方にもすでに内容が伝わっていたという強味はあったと思います。
 
 そのあと、別のところから近いジャンルの本の依頼をいただく形で『図説 メイドと執事の文化誌』の翻訳をしました。もともと原書の刊行前にエージェントから出版社にオファーされたものだそうです。それから同じ著者の旧作を続けて出したらどうかと、これは自分で企画書を作って提案し、制作期間の都合で別の方に翻訳を任せて監修のみをしました。『英国の幽霊伝説』です。

 翻訳権が空いているかどうかは、企画書を渡したあと、出版社がエージェントに問い合わせて調べてくれます。この手順を個人ですることはありません。先に個人的に著者にコンタクトをとったこともないです。

 出版企画書(梗概書、レジュメ)の書き方や持ち込みの仕方は、ネット上を探すといろいろありますが、たとえば以下の記述はわかりやすいかと思います。

越前敏弥 出版翻訳あれこれ、これから
第3回:翻訳出版の企画を立てるには 
 http://dotplace.jp/archives/22868
(リンク先のご本人ブログも参照)

翻訳コーディネーター 加賀雅子さん
 http://www1.vecceed.ne.jp/~gentil/ohanashi.kagamasako.html
(1−2.レジュメ活用術 の項を参照)

 わたしにもこれまでに、ぜひ出したいと思って企画書を書き、あちこちで話をしたけれど、書店での売り場がはっきりしないジャンルのすき間的な内容であるとか、原著者に連絡がとれないなどで、棚上げ、没になった企画があります。もっとキャリアの長い、本格的な、名のある翻訳家さんには、それはそれは多くの「保留」「没」「かと思ったらよそから出た」企画があると思います。

 別のところに複数回持ち込んでお断りされ、なぜ出しにくいのかの説明にも納得がいき、自分の中でもまあ区切りはついた、という本の企画書を、ここにあげておきます。企画書の「フォーマット」の参考にしてください。これはすでに付き合いのある編集さんに渡したものなので、訳者(わたし)の経歴や、読者ターゲット、売り上げ予測などの情報は省いてあります。初めてお会いする方に持ち込みするときはそういう情報もつけることはありますが、なるべく手短にします。

(なお、出版を検討したい、という編集者の方がおられましたら、メールフォームよりご連絡ください。数年前に調べていただいたときは翻訳権は空いていました)

 翻訳の仕事をしたい方は、どうしても自分が出したい本というのがあってそう思うようになったのかもしれませんが、もし職業として継続的に携わるつもりがあるなら、ひとつの本にこだわらず、たくさん企画を作ってみたらよいと思います。がんばってください。
posted by rico at 14:00| メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする