2009年08月17日

十九世紀英国の鉄道を書(描)きたい貴方のために

 以下の読書リストは、「紅茶関連本いろいろ」のエントリに続けて書きかけたものの、ちょっと忙しさにかまけてそのままになっていたものです。表題の状況にあてはまる方は、よろしければお役立てください。

 夏休みの自由研究にも役に立つかもしれない!(笑)
鉄道事典
『世界の鉄道事典』

ジョン コイリー 英国国立鉄道博物館編

 大きめ薄めの図鑑です。いろんな時代の列車を、豊富な現存資料の写真で紹介しています。

 「「知」のビジュアル百科」というシリーズの一冊で、現行はあすなろ出版ですが、たぶん以前に同朋舎出版から出ていた「ビジュアル博物館」と同内容ではないかと思います。

 原書は英国のDK社による「Eyewitness」シリーズになります。中世の武器やシェイクスピア、発明の歴史、飛行機の歴史、一次大戦・二次大戦など幅広いトピックがあります。白バックに写真やイラストで解説するというコンセプト。ちょっとした知識を視覚的に大づかみするのに非常に役立ちます。ヤングアダルトむきでわかりやすい文章なので、専門用語や固有名詞など同時に押さえていきたいというような向きには、原書で購入されるのもひとつの選択肢かと思います。

 和訳はされていないようですが『Victorians』というタイトルもあり、おすすめです。

19世紀
『19世紀の鉄道駅』

フィオーナ・マクドナルド/ジョン・ジェイムズ
小池滋/和久田康雄訳

 上の本と似たような体裁の、こちらはイラスト図鑑です。駅構内の様子、建物の構造、車両の感じなどがカラーイラストで載っていて、とてもわかりやすいです。十九世紀の新聞版画、報道写真などをもとに再現されたのだと思います。昔の図像資料は当然ほとんどが白黒なので、カラーなのはうれしいですね。

19世紀
『英国鉄道物語』

小池 滋

 鉄道をこよなく愛する英文学研究者による、すばらしい本。鉄道のはじまりから、英文学に描かれた鉄道、ロンドンのターミナル駅の個性について、地下鉄の発展について、シャーロック・ホームズやミステリーとのかかわりなどなど……。必読です。

19世紀
『イギリスの鉄道のはなし』

高畠 潔

 イギリスの鉄道について、路線ごとのエピソードや、車両のデザインなどにこだわって紹介したもの。十九世紀末に、スコットランド方面行きの路線会社がスピード競争で激しくやりあった話が特におもしろかったです。愛を感じるくわしい一冊。黎明期からおおむね世界大戦前までの話題が多いです。続編も出てます。

1890
『Baedeker's Guide to Great Britain 1890』(※英書)


 ヴィクトリア時代の「ベデカーの旅行案内書」をそのまま復刻したものです。旅行ガイドというより「鉄道駅ガイド」みたいな内容ですね。1890年当時の英国内の駅を網羅して、駅ごとに来歴や観光スポット、始発駅からの距離や所要時間、料金などを書いてあります。「○○から××まで鉄道で行くとどのくらい」「何の路線がどこまで来ていたか」「乗り継ぎの選択肢」など、当時の時間・距離・コスト感覚が、がんばってひいてけばなんとかわかります。

(……っていうか、私の持ってるのは赤くてそっけないカバーなのに、なんかTissotの絵にリニューアルされてる! いつのまに!)

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『Baedeker's London and It's Environs 1900』(※英書)


 上と同じベデカーの旅行書で、1900年版のロンドンガイドも復刻されています。こっちは鉄道のほかオムニバスやキャブなどの交通情報も押さえつつ、観光名所の記述に多くのボリュームをさいているので、世紀転換期のロンドンを舞台にしたお話を考えたい人には役立つ一冊かと思います。時間旅行でおのぼりさん気分を味わえます(笑)。時期でいうと、夏目漱石が留学していたロンドンに近いですね。

列車強盗
DVD『大列車強盗/The First Great Train Robbery』


 1850年代におきた、鉄道からの金塊強奪事件を下敷きに描くクライムアクション映画です。ショーン・コネリー主演、マイケル・クライトン原作・脚本・監督、1979年の作品です。アンダーグラウンドな風俗描写はケロウ・チェズニーの『ヴィクトリア朝の下層社会』をベースにしているようです。絞首刑見物とかネズミ捕りゲームとか、特別な棺おけとか黒い護送車とか、ヴィクトリア時代中期のコネタがいっぱい入っているのも見どころです。

victorians
DVD『世界最古の鉄道映像』

 タイトルの通り、1895年〜の貴重な記録映像です。
posted by rico at 19:31| 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月05日

TRAVIS、ケイティ・ペリーを歌う

 ちょうど一年くらい前にはやった、新人女の子歌手、ケイティ・ペリーの『I Kissed a Girl』という曲があります。

http://www.youtube.com/watch?v=6CbKBfcAq_I

女の子にキスしちゃった きもちよかった
チェリーの薬用リップ味だった
ちょっとためしてみただけなの

悪いことみたいな気もしたし
別にかまわないような気もした
でも本当に恋したってわけじゃないの

 それを、スコットランド出身のロックバンドTRAVISがカバー。

http://www.youtube.com/watch?v=kqAysAhc_to

 「『I kissed a girl』は自分のセクシュアリティに疑念を抱いたゲイの人の歌になるんじゃないかって考えてたんだ。そうするともっときわどい感じになるって」
 「それじゃ、ストレートの男がゲイのふりしてレズビアンの曲を歌うよ」

 そんな感じで(たぶん)長々と前置き説明してからスタート。「(こんなことしちゃって)カレシが気にしなきゃいいけど」の部分も原文ママです。歌詞のニュアンスが一気に違って聴こえてたいへんおもしろいです。すっかり自家薬籠中のものにしちゃって(笑)、去年の秋あたりからよくライブなどでやってるよう。

 http://www.barks.jp/news/?id=1000043628&ref=rss

 地味にボーダーラインをあいまいにしてくれる感じというか。フランのこういう感覚が好きです。
posted by rico at 00:11| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月27日

ティム・バートンのアリス・予告編



http://disney.go.com/disneypictures/aliceinwonderland/

 ティム・バートン監督の映画『アリス・イン・ワンダーランド』、予告編映像が公開されてます。予備知識を入れたくない人はご注意を!

 いや〜、おもしろそうですね! ディズニー映画ですし、ビジュアル面ではディズニーアニメ版をベースにしている感じなのかな?(ドレスが水色)。アリスが年長ぎみなのには意味がありそうですね。

アリス:ミア・ワシコウスカ(新人)
帽子屋:ジョニー・デップ
赤の女王:ヘレナ・ボナム・カーター
白の女王:アン・ハサウェイ

 他に、公式情報かどうかわからないのですが

芋虫:アラン・リックマン
白ウサギ:マイケル・シーン
クリストファー・リー

 などなど、豪華英国キャストが名前をつらねています。

 そしてそして、チェシャ猫役はスティーヴン・フライみたいですよー! 予告編ではひとこともしゃべってませんけれど。うわっとなるくらいピッタリですね。

 2010年3月(日本では4月)公開。楽しみに待ちたいと思います。
posted by rico at 23:42| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月25日

紅茶関連本いろいろ

 先日「英国式の紅茶のマナーについての本を教えて」というお問い合わせがあってお返事したのですが、ひょっとしたら他のどなたかの役にも立つかもしれないので、ここにも載せてみます。

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長谷川 洋子『英国 薔薇の国のマナーブック』東京書籍


 英国政府観光庁などで長年活動してきたマナー講師の著者による、英国流マナーの本。ドレスコードや招待状の書き方、正式なティーパーティーの開き方などの詳しい記述があります。読みやすく実用的です。

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三谷 康之『イギリス紅茶事典―文学にみる食文化』日外アソシエーツ


 茶の風俗習慣についてキーワードで解説する事典。ではありますが、「アフタヌーン・ティー」「ハイ・ティー」「イレブンジズ」「ナーサリー・ティー」といったぐっとくる項目が並び、端から順に読んでいっても面白いです。英国特有のお菓子やたべものについても多数とりあげてあります。一つ一つの情報について、同時代の小説やエッセイ、詩や戯曲などの典拠をしっかり示しています。実用的なハウツー本ではありませんが、非常に信頼している本です。

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ウィリアム・H. ユーカース『ロマンス・オブ・ティー―緑茶と紅茶の1600年』八坂書房


 茶の起源から貿易、風俗習慣の歴史を書いた本。同じ著者の『All About Tea』という未訳の本があって、多くの専門家が参照している大著だそうなのですが(邦訳が待たれます)、こちらはその簡約版という位置づけ。ボストン茶会事件やカティ・サークについても読めますよ。

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出口保夫『四季の英国紅茶』中公文庫


 現代の英国における紅茶習慣について書いたエッセイ集。上品な階級から見た優雅で美しいイギリスの四季が描かれています。十年以上前の本なので、いまでは変わっていることもあるかも。

●留意点

 学者や研究者、ショップやブレンダー、インストラクターなど、紅茶の専門家にはさまざまな立場の方がいらっしゃいます。それぞれに独自の研究をされており、人によって見解の違うことも多々あります(硬水vs軟水、ミルクは先か後かetc…)。歴史的事実に関しても、諸説分かれることがあります(アールグレイの起源など)。上にあげた他にも良い本はいろいろありますので、何か調べものをされるさいにはできるだけ複数の書籍にあたられることをおすすめいたします。

(……こうやってメモしておいて一番役に立つのは、結局のところ自分かも(笑)。読んでも端から忘れるし、本棚に入ってるのを失念してダブリ買いしてしまうこともしばしば……。読書記録か、せめて購入記録をつけるべきとは思っているのですが、できないままです)
posted by rico at 22:34| 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月19日

『エンバーミング』2巻発売中&蒸気自動車のちょっと気になる話

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和月 伸宏『エンバーミング 2―THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN』

 コミック『エンバーミング』2巻が発売中です。単行本化作業を一気に手がけられ、続きの3巻もすぐ出るということなので、和月ファンの皆さんはご注意ください。

 同作品では、各回の後ろについている時代背景解説コラム「エンバーミング博物誌」の監修、図版提供等で協力しています。
(※ここに収録内容と違うことを書いてしまってたので削除しました。勘違いしておりまして、たいへん申し訳ありません!)

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 これは2巻に収録の博物誌vol.11で紹介した図版。ウォルター・ハンコックという人物の作った蒸気自動車の乗り合いバスで、1833年にロンドン〜ブライトンなどを短期間走っていたそうです。それで、画像の中にちょっと気になる箇所が……。

 車体の横腹に書かれた名前は"Autopsy"。それってハウス先生がたまに叫んでるアレですよね。「(手をつくした甲斐なく患者が亡くなってしまったあとなどに)まだだ。まだ病因を突き止めてない! autopsyだ!」――この場合のautopsyとは「検死解剖」のこと。生きている人からサンプルをとってしらべる生体組織検査はbiopsyとなり、こっちも先生、よく連呼なさってます。両者の違いを逆手にとって、患者を一時的に仮死状態にし、「生きたまま検死する」、という面白いエピソードもありました。

 「検死解剖号」……。そんな名前の乗り合いバスって、ありなんでしょうか〜? 少し調べてみた感じでは、このことばの語源として、もともと「自分で見る」といったような意味があり、過去には医学に限定されない広い使われ方をしていたようでした。一九世紀の初めごろだとどんなニュアンスだったんでしょう。自然に受け止められるような感じだったのか、それとも当時の人たちも、やっぱりヘンな名前だなぁと思っていたのか。

 なんかこう、もやもや〜っとしますが、そのうち忘れたころにでも謎が解ければいいと思います。もし、事情をご存知の方がいらしたら、教えていただければ幸いです。

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エリック・エッカーマン 松本廉平訳伊『自動車の世界史』

 おすすめです。
posted by rico at 17:43| 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月18日

君よ掴め

 先日、用事があってアニメスタジオのサンライズがある上井草の駅に行ったのですが、改札を降りたらガンダムに出迎えられて度肝を抜かれました。

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 驚きのあまり思わずカメラを向けるも、夏の陽射しがとても強く。待ち合わせがあったので逆光補正とかしてる時間もなく。結果、なんか光を掴んでるみたいな絵になりました(笑)。

 このモニュメント、調べてみたら去年の三月にはできてたんですねー。ぜんぜん知らなかった。

 http://www.famitsu.com/anime/news/1214301_1558.html

 駅の発車メロディーもガンダムだったらしいのですが、こちらは気づきませんでしたよ。
posted by rico at 12:19| メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月25日

DVD『黒執事VI』発売中です。

 TVアニメーション『黒執事』、第二期製作決定おめでとうございます。

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『黒執事 VI【完全生産限定版】 [DVD]』

 一期のときに脚本を1本書く機会をいただいたのですが、その第十六話が収録されているDVDが発売になりました。

 シェイクスピアの『リチャード三世』などで知られる、少年王エドワード五世とその弟の悲劇を下敷きにしたオリジナルストーリーです。見ていただければ幸いです。

 この巻に特別付録としてついてくるブックレットには、枢やな先生によるキャラクター原案イラストが掲載されています。たいへん可愛いのでおすすめです。

 パッケージの中に毎回封入される冊子の方では、各巻1ページずつ、舞台背景を紹介するコラムを担当しています。どんな内容を書いたか、以下にちょっとだけ紹介してみます。
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posted by rico at 00:38| 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする